Q&Aで知る自己洞察瞑想法・瞑想療法 マインドフルネス瞑想療法士®育成講座

Q&A形式でお答えします:大田健次郎先生にお尋ねしました(1)・自己洞察瞑想療法はどのようにして開発されたのですか?

2018/02/15

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トレーナーの羽利です。

マインドフルネス瞑想療法士®育成講座開講の準備をしていると、パンフレットやフライヤー(チラシ)などを作成するために、様々な情報を再整理する機会をいただきます。

そんな中で、皆さんにもお知らせしたいなと思うのが自己洞察瞑想療法がどのように開発されてきたかという経緯です。

そこで、今回は大田健次郎先生にご提供いただいたプロフィールからまとめたことを記事にします。

大田健次郎先生のプロフィール

写真1945年、宮崎県に生まれる。一橋大学商学部卒、日本IBM(株)勤務、定年扱い退職、花園大学大学院修士課程文学研究科仏教学専攻修了(修士論文「道元の仏道の階位」)。マインドフルネス瞑想療法士🄬、日本マインドフルネス精神療法協会理事長、マインドフルネス総合研究所理事長、蓮田市立老人福祉センター「マインドフルネス心の健康体操」講師。

・著書
不安、ストレスが消える心の鍛え方 マインドフルネス入門』(清流出版、2014年)
うつ・不安障害を治すマインドフルネス - ひとりでできる「自己洞察瞑想療法」-
(佼成出版社、2013年)
『道元禅師 - 知られざる生涯と思想-』(近代文芸社、1996年)
禅とは何か―悩みを解決する仏教の正門 (道元禅の誤解をとく)
(日本図書刊行会、1993年)
機関誌『マインドフルネス精神療法』の編集。

1993年から、禅を応用した心理療法で、うつ病、不安症のひとの支援を開始。
2004年から、カウンセラー育成講座を開始。日本独自のマインドフルネスである自己洞察瞑想療法(SIMT)を開発。
2014年から、「マインドフルネス瞑想療法士®」の資格認定講座を開設。

日本のマインドフルネスを黎明期から支えるパイオニア

大田健次郎先生は、日本IBM勤務時代、働き盛りの40歳でうつ状態に陥り、当時はまだ、診断も治療も曖昧な中、禅仏教を学び、実践することで、ご自身で症状からの回復を果たされました。

回復後も、成果を厳しく求められる外資系企業のビジネスマンとして定年まで勤務され、在職中からボランティアでご自身の培ってきたノウハウを提供しながら、体系化に磨きをかけ、約15年の研究開発期間を経て、自己洞察瞑想療法が開発されました。

あらためて先生の活動を時系列で整理してみました。

<大田健次郎先生の歩み>
1968年 日本IBM株式会社に入社
1985年 うつで精神科医から仏教を学ぶよう助言を受ける
1993年 禅カウンセリング開始
2004年 マインドフルネス心理相談員の育成の開始
2006年 欧米のマインドフルネス心理療法を研究し、自らの手法と統合をする
2007年 自己洞察瞑想療法(SIMT:Self Insight Meditation Therapy)の開発を完成させる
2009年 特定非営利活動法人マインドフルネス総合研究所を設立、理事長となる
2013年 「うつ・不安障害を治すマインドフルネス-ひとりでできる自己洞察瞑想療法-」出版
2014年 一般社団法人日本マインドフルネス精神療法協会を設立、理事長となる
2014年 マインドフルネス心理相談員をマインドフルネス瞑想療法士®へ、育成講座を刷新。
2014年 「不安、ストレスが消える心の鍛え方 マインドフルネス入門」出版

これらの実績からもわかるように、先生は、欧米で先行するマインドフルネスを俯瞰できるに十分な実践・研究・支援・支援者育成までを一貫して行う実績を積んだ日本では数少ない指導者でいらっしゃいます。

自己洞察瞑想療法/瞑想法・開発の経緯

では、自己洞察瞑想療法/瞑想法の開発経緯について、大田先生にうかがったことを書いていきます。

それでは、開発のきっかけから順に・・・

日本IBMに勤務中の40歳の頃、うつ病となり(当時は病名は不明だった)、精神科医から「君は仏教を勉強しなさい」と言われたことをきっかけに、仏教や禅の入門書を読み、禅の修行を決意。

当時は、うつ病についてもまだまだ今ほど明確な診断や治療がなされていなかったのでしょうか。また、お薬があったとしても、今に比べるとまだまだ副作用などもあったことでしょう。

助言されたお医者様は、この頃すでに仏教の修行に回復の道があることがわかっていらっしゃったのですね。お医者様との出会い、大事ですね。

勤務は配置換えの配慮を受けて休職せずにすみ、勤務の傍ら禅僧の指導のもと坐禅を実践し、心の病気は1年ほどで回復した。

その後、うつ病の書籍も読み、その経過から、うつ病であったのだろうと確信した。
うつ病が坐禅で治ると確信しさらに5年真剣に自己探求を務めた。

座禅への真摯な取り組みは、回復後も続いたのですね。

症状からの回復がゴールではなく、終わりのない「自己探求」に真摯に取り組まれたということですね。

並行して、禅の書籍や脳科学の論文を読み、坐禅の実践方法を中核にした回復方法を考案して「禅カウンセリング」として構想をまとめた。1993年から、勤務の休日にボランティア活動として、支援活動を開始した。

2004年から、支援者になるための講座を開始した。1993年から、坐禅の実践を宗教的目標(1)を達成することではなく、精神疾患の治療に適用できると思った筆者が一般の人向けに、心の病気の予防、治療を主たる目的としたグループ実習を開始した。これが自己洞察瞑想療法の始まりである(2)。

グループ実習のほかに、個別面接により、うつ病などを治すための呼吸法の実践支援を行った。このころはまだ自己洞察瞑想療法、SIMTとは呼ばなかった。

自己の深まりによって「自分のため」から、「世のため、人のため」へと、活動が始まったのですね。

休日を返上して活動。この中での試行錯誤が、自己洞察瞑想療法/瞑想法の確かな基盤を作っていった時期と推測されます。

支援活動と支援者育成講座を続けながら、禅の哲学、西田哲学の研究、脳科学の関係を研究し、支援方法の改良を続けた。

2007年、意志的自己の意志作用の生き方を10段階で習得していくような方法に整理して、自己洞察瞑想療法(SIMT:Mindfulness Meditation Therapy/Technology)と名付けた。

私が知る限り、1990年代半ば以降、世の中を震撼させ、宗教や瞑想行為への警戒が強まったのは「オウム真理教」の教団が起こした数々の犯罪の影響があったと思われます。

当時、「瞑想」という言葉を使おうものなら、自治体や公共施設からは相手にもしてもらえなかったという苦労話を何度かうかがったことがあります。

しかし、くじけず粘り強い活動の中から、「仏教」から「哲学」を根拠とする「パラダイムシフト」が起き、社会の偏見を崩していく大田先生の「創造性」が発揮されたことが伝わってきます。

「自分を治す立場」から「社会を創造していく立場」へ。

自らが、座禅の道場や静寂な瞑想空間での実践に終わることなく、「日常生活」の中で仏道・西田哲学を極める実践を続けられてきたのです。

後述する西田幾多郎博士の西田哲学における「創造的世界の創造的要素」を体現されているのだと強く感じます。

西洋医学との統合により「自己洞察瞑想療法」が文書化・書籍化

では、次に、今は書籍として手にすることができるようになった自己洞察瞑想療法/瞑想法のさらなる発展のプロセスについて書いていきます。

「日本のマインドフルネス心理療法(SIMTの前身)の文書化は2003年に始まる。
うつ病を治し、自殺を防止するために、禅を活用した心理療法を提供できるセラピストの育成の必要性を感じて、セラピストの養成講座のためにテキストを作成した。

2004年から、支援者になる人のための講座を開始して、その後、講座は繰り返し行なわれて、テキストに改訂を加えてきた。

なるほど、今度は自己洞察瞑想療法/瞑想法で支援する「人づくり」に着手されたのですね。

そして、育成が始まった1993年〜現在まで、育成講座の受講者は350名を超えています。
2014年より、マインドフルネス心理相談員は、マインドフルネス瞑想療法士®へと名称が変わり、60名が新しく誕生しています。

2006年春に上述のアメリカのマインドフルネス心理療法の翻訳書が前年に出版されたのを知った時に、我々の心理療法と類似した心理療法がアメリカでは、マインドフルネスを活用した心理療法(以下、マインドフルネス心理療法という)として広く発展していることを知って驚愕した。

2つの心理療法の類似性を自覚し、アメリカのそれを参考にして、テキストを再構成をして、2007年に、ほぼ現在の形に落ち着いた。

この頃、自己洞察瞑想療法(SIMT)と命名した。

ジョン・カバット・ジンの「Mindfulness Based Stress Reduction,MBSR:
マインドフルネスストレス低減法」やリネハンの「Dialectical Behavior Therapy, DBT:弁証法的行動療法」ほかACTやMBCTなどについてもいち早く研究されています。

ご自身の開発中の手法を過信せず、あらゆる回復の可能性を既知の研究の中に探し抜き、研鑽を続けてこられたことを改めて思い知ります。

SIMTの応用範囲が、種々の領域に発展する気配を感じたので、多数の要請に応えやすいように、2007年から2008年にかけてテキストをテーマ別にモジュール化した多数のテキストに編集しなおした。

基本的には禅の実践や禅の哲学が背景になっているが、禅の研究領域においては、思想的な研究が重視されていて、精神疾患への応用に参照できる研究を発見することができなかった。

これは、ご自身が精神疾患からの回復を経験しているからこそわかることなのだと思います。

仏教が「苦しみを抜き、幸せを与える」ということは、思想としては脈々と受け継がれているのですが、医学と宗教の融合というのは、医療の枠組みの中では認めにくいことだと思われます。

そこで、西田幾多郎が記述した「西田哲学」を参照した。西田幾多郎は、禅を実習した人で、自己について深く洞察して哲学書を著した。

精神疾患の治療、予防の理論と実践の指針を得るための多くのヒントを西田哲学に見出した。
このように、SIMTは、西田哲学、日本の禅、大乗仏教、精神疾患の研究、脳神経生理学などの成果をおりこんで、日本で開発された心理療法である。

やがて、世の中も変わっていき、日本でも「マインドフルネス」が大きく注目されるようになりました。

マインドフルネスが大きな潮流となって、仏道の実践方法が逆輸入されたような現象が日本で起きていますが、偏った実践や考え方も広がり、混乱が見られつつあります。

そんな状況を、高い視座から眺めて、コメントできるのも大田先生の強みと言えるのではないでしょうか?

300万アクセスを余裕で超える先生のブログには、深いマインドフルネスの実践に関する至極の記事が多数あり、私たちの学びを助けます→大田健次郎先生のブログ「マインドフルネス心理療法

的確に実践することで、早期に回復に希望を

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このように、自らうつ病に罹患していたと思われる1人のビジネスマンが、効果的な薬がない時代に、真摯に自分に向き合い、症状を克服し、自分の経験、学び、能力を極限まで発揮して完成させたのが、自己洞察瞑想療法/ 瞑想法です。

主にうつ・不安障害の方にとっては、かゆいところに手が届くまでに、そのノウハウが書籍として明文化された自己洞察瞑想療法/瞑想法ですが、

支援者:マインドフルネス瞑想療法士とともに実践することで、挫折を回避すべく、モチベーションを維持し、再発防止に向けた一連の取り組みが可能になります。

適切な解釈、的確なフィードバックにより、遠回りのない回復プロセスを歩むことが可能になっています

(ただし、人によって回復プロセスは異なり、回復方針の異なる疾患には有効ではない場合がありますので、取り組みの際にはお気軽にご相談ください)。

あらためて、自己洞察瞑想療法/瞑想法の開発プロセスや支援者育成のプロセスを知るに、支援の現場により丁寧に真摯に向き合うことを心がけたいと思いました。

大田先生、ありがとうございました。

続く

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