マインドフルネス瞑想療法士®育成講座

石川県金沢市にて「第6期:マインドフルネス瞑想療法士育成講座」の第3回目の講座が開催され、受講者の皆さんは脳神経生理学に入門しました

トレーナーの羽利です。

2018年8月19日(日)に、マインドフルネス瞑想療法士育成講座の第3回目が開催されました。

北陸マインドフルネスセンターは、この講座の事務局を担当しています。

この日の金沢は最高気温が30度を切り、少しだけ涼しい日となりました。

さて、

第3回目の講義をダイジェスト(時系列)でおしらせします。今回もたくさんのテキストを配本いただきました。

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なお、本記事は、著作権をお守りするために、ご講義いただいた大田健次郎先生に掲載の許可と内容のチェックを受けております。

うつ病とは脳の病変である

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「うつ病とは心が風邪をひいたようなもの」、以前はそのような紹介がなされた時期がありましたが、詰まるところ「うつ病は脳の病変」です。

しかもかなりの広範囲にわたるのものです。

脳画像を用いた研究では、「うつ病群」と「非うつ病群」を比較したところ、

楽しいことが起きると予測しても、「うつ病群」は、左外側前頭前野が活性しない傾向があることがわかっています。

また不快なことが起きると予測した場合には、「うつ病群」は、内側前頭前野、前部帯状回(吻腹側:情動領域)が活性、過敏になる傾向があるとわかっています。

変調が顕著な領域として下記の領域が挙げられます。

・背外側前頭前野
・眼窩前頭前野
・前部帯状回
・海馬

前部帯状回(腹側:認知領域)は、背外側前頭前野とともに、ワーキングメモリの重要な役割を担っており、前部帯状回(吻腹側:情動領域)とは、相互抑制関係にあります。

前部帯状回(吻腹側:情動領域)とともに、不快なことを考えると活性する部分に扁桃体があります。

それらに対し、自己洞察瞑想法によるマインドフルネスの実践は

不快な「感情の回路」を、抑制し、活性させない背外側前頭前野や前部帯状回(腹側)を要としたワーキングメモリの「理性の回路」を強化していくことに役立つことを理解しました。

ナチュラルキラー細胞(NK細胞)とは

ナチュラルキラー細胞(NK細胞)とは免疫細胞の1種です。

ナチュラルキラー細胞は、副交感神経神経が優位の時に活性化するが、ストレス時に分泌されるストレスホルモンによって機能が抑制されます。

うつ病になり、ストレスホルモンの分泌が過剰になると、免疫細胞の働きが抑制されるため、ガンや身体の病気のリスクが高まることになります。

したがって、副交感神経を優位にする呼吸法が、病気の患者、予防のためには推薦できるものと言えます。

海馬の萎縮とは

「海馬に限らず、脳が萎縮するとは一体どういうことなのか?」と言うと、グリア細胞、樹状突起スパインや受容体が減少した状態のことを言います。

主役の神経細胞へと血管から栄養を補給する脇役がグリア細胞です。

樹状突起スパインは、神経細胞の樹状突起から出ており、シナプスの受信側をになっている小区画です。

萎縮が起きている時の細胞レベルでの異変について確認し、午前の講義を終えました。

第3セッションの模擬レッスン

午後からは、第3セッション「感情を知る」の模擬レッスンをしていただきました。

思い出してはつらくなる、これがクセもの

自己洞察瞑想療法の課題である呼吸法をしている時、行動時自己洞察をしている時などは、自分を観察しながら、自分にとって、他者にとって、社会にとって役立つ行為をしています。

しかし、それ以外の時に、思い出してはつらく思うこと、思い通りにいかないことをつらいと思うこと、つまり、ことが起きた現場を去った時に1人であれこれ考えてしまうこれがクセものです。

感情の特徴を知る

第3セッションでは、テキスト61ページでは、ことが起きた現場での第1次・第2時感情を観察し、自己洞察と建設的な対処することで、現場を離れた後での不快な思考へと発展させないようにします。

たとえ、現場を離れた後で、うつうつ、イライラするような感情が湧いてきて、思考が始まっても、それ以上回転させず、「ダメだ」と自分を評価したりすることをせず、短時間呼吸や、行動を起こすなどしてなるべくスマートに対処するようにするよう、先生は助言されました。

自分で自分を制御できるようになること、これを1人でできるようになることを時間がかかっても目指していきます。

脱線!?瞑想法あれこれ

時々、大田先生は、セッション内容から脱線することがあります。

しかし、これがとても大事なこと。
受講者も先生の熱意に引き込まれて、先生が脱線に気づくと笑顔になります。

今回の脱線ポイントは、「価値実現のためには腹式呼吸である必要がない」という点。
お腹を動かすことが大事なのではなく、「社会的行動」が大事なのだと。

これは、マインドフルネス瞑想療法士を目指す受講者も徹底して理解する必要があります。

そして、瞑想の実践法の違いは、何を目指しているか、背景の哲学の違いである点。

ヴィバッサナ瞑想は、六道輪廻から解脱するための修行法ですから、同じ洞察型の瞑想でも自己洞察瞑想法とは目指すものが違います。

自己洞察瞑想法は、大乗仏教よりの「目的を持った瞑想法」です。
鈴木大拙、西田幾多郎の哲学や、法華経・華厳経の他者救済、自利利他の精神を実践していくものです。

座禅やヴィバッサナ、その他の瞑想など、いろいろあっても、皆違っていてよく、自分が好きなものを実践していけば良いと締めくくられました。

自己洞察瞑想療法は脳の中に変化を起こす心理療法

繰り返しになりますが、うつ病は脳の病変です。

自己洞察瞑想療法では、ワーキングメモリを訓練する

そして、薬では強化することが困難な働きの1つが、脳のワーキングメモリという機能です。

「ワーキングメモリとは、「ある作業に必要な情報を、必要な期間、ある種のプロセス(リハーサル機構など)を働かせて、能動的に保持するメカニズムである。」

「ワーキングメモリを、情報の一時貯蔵機構、情報の選択・入力機構、情報の出力機構、情報の処理機構、そして情報信号のサブプロセスから構成される1つのシステムと考えたモデルである」

引用:「前頭前野とワーキングメモリ」「clinical Neurosciennce(月刊:臨床神経科学)」 619,620頁 2005/No1.Vol.23、中外医学社

詳しくはこちらのテキストにぎっしり書かれています。

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詳しくお知りになりたい方は大田先生のブログをご覧ください→こちら

大脳の前頭葉にある前頭前野は、ワーキングメモリの機能の中核であり、実行制御と実行機能を担っています。

これらの一連の情報システムは、良好な人間関係を維持したり、家事や仕事を遂行する上では欠かせないのですが、これらがうつ病になると機能低下を引き起こします。

うつ病の方は、前頭前野に変調があることがわかっていますので、ワーキングメモリの働きを知ると、うつ病は精神的につらいだけでなく、

家事や仕事に必要な情報を記憶から検索したり、作業が終わるまで情報を覚えておいたり、それらの情報を処理し、複数の作業を制御できなくなるという理由がわかります。

注意のネットワーク

また、特筆すべきワーキングメモリの重要な役割の1つに「注意」があります。

背外側前頭前野、本文の冒頭にも記述した前部帯状回(腹側:認知領域)に加えて、腹外側前頭前野が注意のネットワークを形成し、注意の「選択機能」「覚度ないし維持機能」「制御機能」を高めています。

いたずらに注意が散漫に移ろうようなことを抑制し、焦点を当てたいことに注意を向けられるようにするのもワーキングメモリの役割です。

他のマインドフルネス瞑想以上に、このワーキングメモリを意図的に訓練するのが自己洞察瞑想療法/瞑想法であるということが、非常によくわかります。

デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)

何もせず、ぼんやりしている時でも、脳の様々な領域は交信を休まず、同調しており、まるで車のアイドリングのようにエネルギーを消費する基底状態があります。

これは、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN):安静時ネットワークと呼ばれています。

意識的というより、「なんとなくやっている活動」の時に働いています。
例えば、次から次へと記憶が浮かんでくるような「マインドワンダリング(無意図的想起)」のような時は、、DMNの活動状態と言えるのでしょう。

DMNは、内側前頭前野、後部帯状回/楔前部、下部頭頂葉、外側側頭葉、海馬を含んで構成されると考えられています。

興味深いことに、長期間の瞑想実践者は、内側前頭前野が活性化し、厚みが増しているということが研究でわかっています。

内側前頭前野が活性化している時というのは、利己的・自己中心的な考え方を手放すことができ、肯定的な感情から幸福感を感じることが多いと考えられています。

そして、長く瞑想を続けていくと、瞑想実践前とは異なるデフォルト・モード・ネットワークへと発達を続けていくことになります。

運動の改善効果

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駆け足になりましたが、運動の効果にも触れられましたが、資料は大変充実したものであり、私は講座後にじっくり読ませていただきました。

再発防止には、運動が不可欠です。

北陸マインドフルネスセンターでも回復した方の全てが、症状を改善するためという明確な目的を持って、生活の中に運動を取り入れてきました。

日本では、まだまだ薬物治療が中心です。抵抗のある方は、お薬の服用も回避されます。

アメリカでは、非薬物治療へと切り替わってきています。

テキストでは「行動活性化(BA)」の療法が、詳しく紹介され、自己洞察瞑想療法の中には行動活性化(BA)が織り込まれていることを改めて実感しました。

「活動は活動を生み出す」

これが、行動活性化(BA)療法を受けるクライアントのモットーだそうです。

つらくても、身体がだるくても、よくなるために、自分にとって、他者にとって、社会に役にたつ活動を起こします。

それは、人に押し付けられたり、マインドフルネス瞑想療法士が指示した行動ではいけません。

振り返ってみれば、クライアントの中には、つらい闘病の最中にあっても、家族に代わって料理をしたり、雪かきをしたり、草むしりをしたりというようなことをなさって、寝たきりにならない工夫をされた方が何人もいます。

しかも、10ヶ月間という長期間に渡ってです。

自分で決めたメニューで目標を持ってやるということが、自己洞察瞑想療法/瞑想法でトレーニングする「意志作用」を発揮することになり、ワーキングメモリの機能を使うことになり、

前述したように、自動的に始まる想起に起因する思考などを抑制するネットワーク形成を助けます。

脳トレ体操の効用

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その他、講座やグループセッションの中で取り入れられる手足を絶妙に使う「脳トレ」のように、

やりなれない動作の指示を聞き、覚え、動作の完成形をイメージし、記憶や外的・内的な刺激を頼りに、空間の中であれこれ試しながらも動作を完成させていくというプロセスは、

ワーキングメモリの機能そのものです。

手足を使う「脳トレ」は、ワーキングメモリの機能の維持・強化に大変有効であるということを改めて痛感します。

番外編:ランチ交流会

また、お昼はランチ交流会を行いました。

日頃、講座終了後、帰りの交通機関の時間を気にし、また家事などを気にかけなかなかゆっくり交流できない皆さんですが、おしゃべりに花が咲き、お互いの理解を深める場となりました。

各自が注文したステーキ弁当・握り寿司弁当・芝寿司弁当は、いずれも大好評でした。

このような 小さなイベントを盛り込みながら、金沢でのマインドフルネス瞑想療法士育成講座は、明るく楽しい学習環境が、学びへの興味関心を維持向上できるようにコーディネートしていきたいと思っています。

9月は、講座の翌日に、ミニ・エクスカーション(小遠足)を予定しています。

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