マインドフルネスSIMTでうつ・不安障害やスランプから回復していく姿はケガをしたスポーツ選手の復活に似ている

トレーナーの羽利です。

今月は、仕事でうつで治療中の方や、復職をされた方々といつもの月の何倍もの方に出会いました。

体調も本調子ではないわけですから、最初はつらそうなわけですが、お別れする時には、笑顔になってお帰りなるのを見て、

短い時間でも希望が見えたのであればよかったなぁと思っていました。

ケガから復活するスポーツ選手たち

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私はこの4年ほど、大相撲観戦にはまっています。
「相撲好きな女」略して「スー女」でございます。

そのことを自己紹介で話しているうちにはっきりしたのは、私は、負傷した力士が痛みや恐れと戦いながらも復活していくプロセスが好きなんだなということです。

例えば、

先場所は、好きな力士の1人である栃ノ心関が大関に昇進しました。
本当にうれしいことでした。

実は、

私が、大相撲にはまり始めた頃、栃ノ心関は大ケガで幕下に転落しているところでした。

小結まで番付を上げながらも、幕下に転落。

全休3場所を続けながらも、復活して幕下では圧倒的な力の違いを見せつけ、2場所連続での十両優勝に続いて、そこからは幕内では上位定着です。

若い頃は色々指導に手を焼いたと聞きますが、素直でさわやかな人柄や礼儀正しさ、フェアプレイ、稽古に裏付けられた力強さなど、

ジョージアという日本ではあまり馴染みのない国から来日したのに、なんだかとっても日本人っぽい大和魂みたいなものを勝手に感じている私です。

だから応援してしまうのかもしれません。

良い時もあればそうでない時もある

石川県出身の遠藤関も、活躍を期待されながらケガで苦しんでいますが、ぐっと耐えながら1場所1場所番付を上げ、小結に昇進したところまさかの休場でした。

遠藤関がインタビューで「良い時もあればそうでない時もある」というような言葉を何度か口にするのを聞いたことがあります。

そして、

好調な時も、不調な時も表情は大きく変わりません。

そうやって、一喜一憂しないで、とらわれることなく、今ここでやると決めていることを粛々とやっていく姿に、私はたまらなく相撲道を感じるのでした。

その他、幕内最年長力士として、傷だらけの体で取り組み続ける安美錦関、本当に幕下付出でデビューし将来を期待されながらも、早い時期に大ケガをした妙義龍関もその後も度重なるケガに苦しみながらも頑張っています。

相撲に限らず、

スケートの羽生結弦選手や引退した高橋大輔選手、アメリカのメジャーリーグで苦戦し、日本でも勝ち星に恵まれなかった松坂大輔選手が中日ドラゴンズで勝ち星を重ねていることなど

本当にその復活劇には心を揺さぶられるものがあります。

うつやスランプ状態にある方の復活も同じ

私は、クライアントを治す立場ではありません。

「自己洞察瞑想療法」というトレーニング法をクライアントに教え、クライアントがそれらをマスターする過程で、挫折しないように、やっていることが実を結ぶようにサポートする立場です。

北陸マインドフルネスセンターでは「トレーナー」と名乗っているのは、そういう理由です。

おそらく、多くの闘病者の方々は、薬を飲んでいるだけでよくならないということは、薄々わかっていらっしゃると思います。

北陸マインドフルネスセンターのクライアントさんも、こちらに来る前に他の心理療法を受けたり、症状に効果があるということを試したりされていると思いますが、

なかなか不快な思考を止められないままダメージを受けた脳が回復しません。

悩む男性

中でも、背外側前頭前野が回復しないと、仕事を間違いなく、スムーズに進める力が戻ってこないので、職場や学校、家庭などでまた何かがきっかけになって調子を崩すというリスクがつきまといます。

しかし、私が、自己洞察瞑想療法でよくなっていく方々に強く願うことは、

どうか「また元のように元気になりたい」という気持ちを持ち続けてほしいということです。

人によっては、「自分がつらくなった職場に戻っていくのが怖い」とか「嫌いな上司、大変な仕事が待っている職場に戻りたくない」とか、「元気になりたいけど体がついてこない」とか、「もう何年もこの状態だし、本当に治るのか自信がない」とか、本当に様々な気持ちが拮抗していると思います。

ですが、

「また元のように元気になりたい」「元気になってどうしても○○を実現したい」「家族のためにも治したい」といった「意志」こそが、自己洞察瞑想療法の回復の原動力になります。

この気持ちが10ヶ月必要です。
この気持ちがあれば、自己洞察瞑想療法(SIMT)で10ヶ月乗り越えられるサポートが私にはできます。

「頑張ろう」というより「挑戦してみよう」

うつの方には「頑張れ!」は禁句とはよく言われます。

しかし、自己洞察瞑想療法ではクライアントは、課題に難しさを感じても、粘り強くやり遂げることが実践上必要になります。

決意新たにやろうと決めたことも、回避したり逃避したりして、やがて挫折します。
課題が難しいと課題のせいにしたくなることもあるでしょう。

しかし、「やる」と決めたことに、注意を向け続け、すべての課題はできなくても、課題にある瞑想法や運動でも家事でも何か必ず実践し続けることが大事です。

調子のいい日もそうでない日もあります。

しかし、一喜一憂せず、そして何よりも自分を罰したりしないで、とにかく、とにかく「実践」なんです。

症状に苦しんできた日々では乗り越えられなかったであろう課題に挑戦していき、すぐにできたという実感が持てなくても、効果は「時間差」でやってくるのです。

この「時間差」を信じることができるかが継続の秘訣の1つです。

乗り越えると自己肯定感がグンと高まる

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トレーナーの私も自己洞察瞑想法を10ヶ月やりました。

当時は、治したい症状がそんなに厳しかった訳ではなく、切羽詰まった感はなく、とにかく自己洞察瞑想療法ってどんなものなのか体験を通して理解することが目的でした。

ですが、クライアントさんたちは、もう崖っぷちさながらの状態でいらっしゃいますので、私の実践態度よりもはるかに真剣です。

体調もよくなく、近年何かを最後までやり切ったという達成感に乏しく、これをやり続けて本当によくなるのかという猜疑心を払拭できない場合もあるでしょう。

しかし、終わった頃には、なかなか普通ではできないことをやり遂げた自信がつき、再発を防ぐことにつながっていきます。

「千里の道は一歩から」という言葉がありますが、うつやスランプから抜け出したいという気持ちを持って、小さな変化を自分に起こしていきましょう。

それが大きな変化の始まりと気づくのは少し後になってことです。

  • この記事を書いた人

羽利 泉(はりいずみ)

石川県金沢市でカウンセリングや「うつ・不安障害を治すマインドフルネスーひとりでできる自己洞察瞑想療法ー」の講座をしたり情報を発信している公認心理師(国家資格)・マインドフルネス瞑想療法士です。マインドフルネスの実践を通し、心身症状で悩む方のサポートをしています。