自己洞察瞑想療法の体験談:マインドフルネスで産後の不安障害を乗り越えて(30代:女性)

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トレーナーの羽利です。

北陸マインドフルネスセンターでの自己洞察瞑想療法(以下SIMT)の10ヶ月のセッションを終えられたクライアントさんが体験談をお寄せくださいました。

同じように苦しまれている方の助けになればとのことでお申し出いただき、ありがたく掲載させていただきます。

その内容に、私からもコメントをつけさせていただきました。

「マインドフルネスで産後の不安障害を乗り越えて」

絹川真知(きぬがわまち)(ペンネーム)
30代:女性 セッション期間:2016年6月〜2017年4月
(掲載されている写真はご本人ではなく、イメージ写真です)

要約

子供を出産し、育児の悩みと睡眠不足により不安障害やうつ状態に陥った。

育児の合間をぬって、テキストを何度も読み返し、呼吸法と記録表の記入を続けた。継続していく中で、自分で作り出し、自分を苦しめていた妄想を止めることができるようになった。

やがて「私が私を包んでいる」と思えるようになり、大丈夫だと思える自分を意識することで、自分の強さを感じられるようになり、育児が楽しい、子供がかわいいと思えるまでに回復した。

SIMTに辿り着いた経緯

私は、もともと不安症なところがありましたが、子供を出産してから、初めての育児で悩み、子供もよく泣いて睡眠不足にもなり、育児が思ったようにいかず、それが原因になって不安障害、鬱っぽい症状になりました。

心療内科にも通院しましたが、あまりよくならず、このままではダメだと思い色々と調べて北陸マインドフルネスセンターのホームページにたどり着き、お電話をし、セッションのお話を聞きに行こうと思いました。

SIMTの実践とその経過

SIMTを始めた頃は「自分にできるか、難しい」と不安でしたが、毎日20分の呼吸法は頑張って続けました。

最初は、座って20分は、そわそわして本当に大変でした。子供がお昼寝をしている時や主人に子供を見てもらっている時などにテキストを何回も読み返して実践していました。

辛くても、毎日の呼吸法20分と日誌は書いていました。

そして、第4セッションの人生の価値・願いを実践した頃から少しずつですが、自分の気持ちが楽になってきたような気がしました。

人に怒りや不満を感じても呼吸法をして落ち着くという実践を少しずつできるようになり、抗不安薬に頼ることもなくなりました。

もちろん怒りを抑えられない時や、育児で自分の時間がなかなか持てずに、思うように実践できない時もありました。

その時は、自分を責めずに「また明日」と自分に言い聞かせていました。

私がSIMTを通じて学んだことは、私を苦しめているのは自分自身だということです。

「妄想」です。

思考が良くない方向に進んで、それを止められなかったということです。

そのことに気づいてから「妄想」に気づき止めるとだいぶん楽になりました。

あとはどんな私でも許す、自分の奥の人格的自己を強く意識しています。

どんなことが起こっても、私が私を包んでいる、大丈夫だと思える私を意識することで、私は強くなれたような気がします。

今後の抱負

SIMTを始めてもう1年が過ぎました。

今は1年前の私よりすごく強くなりました。子供と主人と3人で旅行に行くのが目標だったのでそれに向かって楽しみだと思えるようになりました。

もちろん日々の育児で思うようにいかずにイライラすることはありますが、以前より「育児が楽しい」「子供がかわいい」と思えるようになりました。

これからも自分の価値実現のために続けていこうと思います。

これからSIMTを始める方へ

私はSIMTに出会えて、本当によかったと思っています。
自分を見つめることができて、自分の苦しみがわかりました。

私のように、産後、育児がうまく行かず、自分を責めて苦しんでいる方へ。

SIMTをコツコツしていくとだんだん楽になっていきます。
最初は辛いのですが、少しずつ、少しずつ良くなっていきます。
諦めずに実践していってください。自分のためになります。

私も、これからも自分の価値を忘れず、実践し続けます。

投稿文を拝見してのコメント

トレーナー・マインドフルネス瞑想療法士:羽利泉

私は、医療関係者から「産後のうつ・不安障害にSIMTは難しすぎてできない」と言われたことがあり、また、絹川さんに実践の時間が確保できるのか、実は半信半疑でした。

しかし、お試し期間の1ヶ月間の課題を終え、それは全くの杞憂と知りました。

「家族のために良くなりたい」という強い覚悟

子供のお昼寝の添い寝時間や子供が遊んでいる時間の見守り時間を、呼吸法や自己洞察に当てる創意工夫により、呼吸法、記録表の記入を早期に習慣化したのが見事でした。

途中までは、自律神経の失調による身体症状が、一進一退で先が見えない時期もあったことでしょう。

それでも、一貫して「家族のために良くなりたい」という願いは実践のエネルギー源でしたね。

「テキストの読み込み」が実践を確かなものに

症状が厳しい方は、テキストを読むことに難しさがあります。

しかし、絹川さんは、細切れ時間に繰り返し読んで、課題に忠実に取り組まれました。

実践を介し、迷う点が出てきたら早い段階で質問し、修正をするので、実践への集中度が非常に高かったという印象が残っています。

もともと「手抜きができない」という特徴を持っていらっしゃるのではと思っていましたが、今回のセッションでは「自分を苦しめる方向」ではなく、「幸せが感じられる方向、成長する方向」に向かってその特徴が発揮されたと振り返ります。

自他を受け容れる優しさが強さに

第2セッション以降、まだ身体症状が残る中、不快な感情をありのままに観察し、連鎖する感情・思考を断つ練習を熱心に行いました。

第6・7セッションの「本音」の観察、特に「受容」の練習は、一筋縄ではいかなかったです。

しかし、自分の本音との戦いをやめ、相手の苦しみにも思いが至ることで、相手にあたたかく関わる余裕も願望も生まれていきました。

終盤の記録表には感謝の記載が増えていき、セッションでは清々しい笑顔が増えました。

セッション開始時とは全くの別人のように、本来の魅力が輝き出しているなぁと感じた瞬間が蘇ってきます。

子育てをマインドフルに

若い絹川さんが、東洋的な考え方を実践していくことを頼もしく思いました。

これから絹川さんの子育ては、枝葉末節にふりまわされることなく、拙速に自他を判断したり評価したりすることが少なくなるでしょう。

包容力があり骨太なものになっていくことを予感します。

自分がよくなった経験が、同じ苦しみを持つ他のママたちにも少しでも役に立てられるなら

その慈悲の心に厚く感謝申し上げます。
これからもお互いにマインドフルネスを実践していきましょう。

お子さんの成長も楽しみにしています。

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  • この記事を書いた人

羽利 泉(はりいずみ)

石川県金沢市でカウンセリングや「うつ・不安障害を治すマインドフルネスーひとりでできる自己洞察瞑想療法ー」の講座をしたり情報を発信している公認心理師(国家資格)・マインドフルネス瞑想療法士です。マインドフルネスの実践を通し、心身症状で悩む方のサポートをしています。