自己洞察瞑想療法を知る

第2セッションの「注意作用を自由に使う」の(その1)〜(その3)の違いがわからず、うまくできません。

本

トレーナーの羽利です。

自己洞察瞑想療法は、うつ・不安障害などによる心身の症状を減らしていくために開発されたメソッドです。

したがって、一般的な書籍で読んでわかる瞑想法とは異なる細やかな技法を含んでいると思います。

その顕著なものが第2セッションの課題である「注意作用を自由に使う」です。

これは、私も最初のトレーニング期間中は、なかなか理解ができませんでした。今日は、そのことに関連する「ワーキングメモリ」のことについて書いてみたいと思います。

ワーキングメモリの働きと関連から

私たちの日常では、何か行動しながら、そこで発生する「覚えておく必要があること」をあたかも脳の中でメモしておく機能があります。

例えば、

料理をしながら、調味料を切らしていることに気づき、それを買いに行かなくちゃと思ってみたり、上司の指示命令を聞きながら、頭に浮かんだ段取りを記憶にとどめていたり、洗濯ものを干しながら、次にやろうと思っていることをイメージしたりすることがあります。

でも、行動としては、2つを同時に実現することができないため、あたかもパソコンでコピーした画像や文言が、ペースト(貼り付け)されるまでの間、宙ぶらりんになる、ような現象が起きます。

この現象の時に働いているのが脳の「ワーキングメモリー」機能です。

ワーキングメモリは「脳のメモ帳」と例えられます。

私たちは、脳のメモ帳に書かれた内容が実行移せるのは、3つぐらいが限界だそうです。

だから、脳のメモ帳じゃなくって、実際に手帳・メモ帳などに書くということが必要になる訳ですよね。。。

ワーキングメモリーを構成するのは

少し前の研究ではありますが、大阪大学の苧阪教授が2003年の実験で、前部帯状回・背外側前頭前野・上部頭頂小葉の3カ所がワーキングメモリの要となる中央実行形系のネットワークを作っていると考えられると発表しています。

ワーキングメモリは、日常生活を普通に送ることができれば、特別なトレーニングはいらないとのことですが、日々の生活の中で、ミスや能率の低下を起こしている方においては、第2セッションの「注意作用を自由に使う」練習は、役に立つように思います。

それぞれの働きと関連付けて

苧阪教授によると、前部帯状回は注意が移ろうのを「抑制すること」、背外側前頭前野は「注意を保持すること」、上部頭頂小葉は「注意を切り換えること」に機能するとのこと。

これらの機能を活性させるには、テキストの第2レッスンに出てくる「注意作用を自由に使う」の「注意の分配」「注意の移動」「注意の持続」が多いに役に立つのではないでしょうか?

注意の分配は、同時に複数の作用を観察する難しさがあり、最初は戸惑いますね。

注意の移動は、感覚や思考の作用と呼吸との間で注意を移動させているうちに、偏った感覚作用や思考に浸ってしまって、呼吸の観察を忘れそうになってしまったりもします。

注意の持続は、30分ぐらいはやってみましょうと言われても、これまでは10分ぐらいが精一杯の方には、いきなり立ちはだかる壁です。

どんな自分も受け容れて

むずかしくてうまくできない呼吸法(正坐瞑想)の練習の中で出会う自分は、活動している日常生活の中でいる自分と全く別人ではありません。

新しい瞑想技法に取り組む時に、

特定のことにとらわれてしまって、物事を広く見ることができない自分、

特定のことにとらわれてしまって、意志に反して、思考・感情に浸ってしまう自分、

集中できずに、注意散漫になって、やると決めたことをやり遂げることができていない自分、

否定的な部分がどんどん見えてきます(いや気づかない、見えないってこともあるかも)。

でも、1度にマスターできるほど、私たちは便利にできていません。

しかし、肯定的に言うなら、どんなに混乱していても、実践している限りは「新しいことをマスターする過程にある」のです。

最初から、達成に価値をおくと、うまくいかない自分にガッカリしてしまいますが、忘れて欲しくないのは、どんな時も「上達や熟練の途中」にあるということです。

だから、自分ができないことに評価を加えずに、謙虚になって受け容れてみて、何度でも試してみる。

何度でも、テキストを読みこんで、実践と結びつけてみる。

そして、そんな自分に対して、「興味」「関心」「愛情」を持ち、暖かい眼差しを向けながら実践してください。

できない自分を責めたり、焦って早くマスターしなければならないとか自分を強迫しないでくださいね。

それは、マインドフルネスの背景にある哲学に反するものです。

「今、ここ」での課題を精いっぱいやり抜くこと

テキストの構成は、必ず、過去にやったセッションをバージョンアップする形で課題が設定されています。

ですから、先を急いだりしないで、「今、ここ」で取り組む「毎月の課題」を自分なりに精いっぱい取り組むことが大事なのです。

このような「積み上げ」があることが、この後のセッションの効果を最大限に高めていく上で、強い「基盤」になります。

そのことを、念頭において行うことができれば、呼吸法の実践のモチベーションが幾分は上がるのではないかと思います。

第2セッションの課題をやっている方は、ぜひ実践結果をお知らせくださいね。

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