トレーナーの羽利です。
前回は、
「マインドフルネス瞑想に興味はあるけど、特に情報を収集しているわけでもなく、実践もしていない、でも気にはなっているんだ」
という方に、何が起きているのか?
というところで、終わっていました。
正直、それでいいですよね、機が熟していないというか何というか。
ただ、10ヶ月のセッションを申し込まれた方が、この状態が長く続くのは、見過ごすことができません。
支援者としては、話し合いで取り組みを修正していくこと、支援者としての介入方法の見直し、あるいは、別の支援方法をご紹介するなどを多面的に検討する必要性を感じます。
それでも「マインドフルネス」が自分にとって、何か助けになるということがわかっている方には、なんとなくいい感触を得られるまでは、こちらも粘り強く接することを心がけています。
今日は、さらに3つの問いを追加して、継続できるようになるためにはどうしたらよいか、一緒に考えてみたいと思います。
継続して実践・学習するレディネスが整っていますか?
マインドフルネス瞑想(呼吸法)が、習慣化できない理由にはいくつかあります。
私は、家庭教師として6年の指導経験があり、研修講師としては15年の登壇経験があり、その中で、学ぶ準備のできていない人には、いくら教えても成果が出ない、出にくいということを知っています。
いわゆる「レディネス」が整っていない人です。
つらい心身の症状に苦しんでいる時には、なかなか「レディネス」どころではないのかもしれませんが、自己洞察瞑想療法の10ヶ月のセッションでは、
少なくとも「この方法でよくなりたいという願望」と「プレッションでの予備訓練」、「マインドフルネスについての下調べなどがざっくりできていること」が、レディネスを高める要素に相当します。
心身の準備、予備の訓練、興味や関心の程度が低いと、指導者側の「動機づけ」への依存度が高まります。
家庭教師にしても、研修講師にしても、報酬をいただき、学習の目的が果たされる行動を引き出していくために、ある方針・戦略を持って「あの手この手」で支援をし、
次第に、支援者に依存せず、自分で自分のモチベーションを管理できるように切り替えていきます。
1人でマインドフルネスを実践することが困難な人は、この動機づけを自分でやる必要があるのに、それをやることができていません。
また、根深いのは、最初から、無意識に自分ではできないという「思いこみ」を持っているケースです。
これがある限りは、アクセルとブレーキを一緒に踏んでいる状態なので、進みようがありません。
そして、このブレーキが何なのかを、見つめていない人は、それがわからないので、進みようがありません。
やりたくないなら、その気持ちに正直になって、一旦はやめて、レディネスを自分で整えることも必要なのかもしれません。
多くの人は、自分を変えていく方法を、学校で学んでいません(そんな授業ありませんでしたよね?)。
ですから、社会に出て、一般的な常識(マナーや仕事を協働で進める原理原則)を上司や先輩から教わり、大小のトラブルに遭遇しながら、乗り越え方を覚えていきます。
その都度、その都度、大小の戸惑いや葛藤しながら、学び、成長していくのはごく自然なことです。
子供と違って、大人の学習は、よりその要素が強くなり、本当に成果を求める企業の研修であれば、「体験や経験から学ぶ」ようにデザインされているはずです。(実際、私が行う研修も、そのような色合いが濃いものです)
壁を見ない、壁がなくなるのを受け身で待つように、いつまでもぶつかっている壁の前で、うろうろしていても、大きな変化は望めません。
ただ、何かしらの変化や成長の途中にあることは確かです。
しかし、このことに気づかないまま、学んだことを生かせない方も案外多いんじゃないかなと思います。
自分の思考と行動のパターンを変えたいですか?
継続できない方は、何を目的(長期的な目標、長期的に叶えたい自分の願い、実現したい価値)とし、心からそのことを願っているかです。
目的が近視眼的な目標化となり、短期的な達成に囚われていて、自分を「できたか、できなかったか」で自分を評価し、判断していると、自分の実践を信じることができず、あれこれ知識を貪り始め、実践がないがしろになります。
「症状をなくしたい」
「職場での苦手な上司が苦にならないようにしたい」
「子供を感情的になって叱らない」
などが、目的のうちは、一喜一憂に陥りやすいものです。
継続できる人と継続できない人では、目的が違います。
下記のように書き換えてみるとどうでしょう。
「症状を減らして、大事にしてきた趣味を楽しみたい!」
「苦手な上司が気にならなくなって、お客様との対応時間を充実させたい。」
「子供の良いところを伸ばして、あたたかい親子関係を築きたい」
継続できる人は、その目的が長期にわたって極めていくものだとわかっているので、簡単に挫折しないという特徴があります。
あなたを変えていくためにはマインドフルネスでなければいけませんか?
私は、クライアントさんが「自分を積極的に変えていくこと」を支援する仕事をしています。
様々な支援技法を体得し、今は、それらを統合しながらマインドフルネスのトレーニングの支援をしています。
私の持論は、人が不快な心身の症状に苦しむのは、
これまで慣れ親しんできた「思考」「感情」「行動」が作ってきたその人ならではのパターンが、現実社会を生き抜いていく中で役に立たなくなっているからだと思っています。
心身一如ですから、心とからだも切り離せません。
だから、自分の体の内側・外側に向けた「感覚」を頼りに、「今、ここ」での自分の「思考」「感情」「行動」を、あたかももう1人の自分が自分を見るという作用を通して、
自分のパターンに気づき、それを書き換えながら、新しい選択肢に出会うことがとても意味のあることだと思います。
一時的なリフレッシュやリラグゼーションのために、継続を自分に強要しない。
不快な状態に陥った時に、短時間の呼吸法をすることも自分の快適さを保つには役に立ちますね。
それがマインドフルネス瞑想と言えるのかは、別として、そういうことの積み重ねをしていくのもいいですね。
自分にとって、呼吸がいつも自分の味方であり、呼吸と自分が一体になっていく気持ちよさを感じられるようであれば、習慣化はしやすくなるのではないでしょうか?
セッションをお受けになっている方に関して言えば、
個人差はありますが、早い方で2ヶ月ぐらいで習慣化の手応えが得られ、3セッションぐらいで、30分程度の注意の持続が週に1回以上はできるようになります。
第2セッションの「注意作用を自由に使う」は、自己洞察瞑想法の初期の段階で基盤を固める上でとても大切な瞑想法(呼吸法)です。
習慣化していくことが簡単な人、そうでない人もいらっしゃると思います。
まずは、自分の呼吸に興味を持って、それぞれのペースで、1日1日、1分1分を積み重ねていきましょう。
一緒に楽しみましょう。