トレーナーの羽利です。
自己洞察瞑想療法(SIMT)のセッションの回復者の方(有志)のからいただいた体験談を順次公開させていただいております。
お寄せいただくばかりで恐縮なので、今回は私の体験談も公開させていただいております。
前編に引き続き後編を公開します。
自己洞察瞑想法を続けて実感する「身心一如」ー後編ー
羽利泉(はりいずみ)(実名)
40代:女性 セッション期間:2014年10月〜8月(自己洞察瞑想療法開発者の大田健次郎先生のご指導を受ける)
(掲載されている写真は本人ではなく、イメージ写真です。本人は→こちら)
本体験談は、日本マインドフルネス精神療法協会発刊「マインドフルネス精神療法 第3号」に掲載された文に一部加筆修正をしたものです。
前編をお詠みになっていない方は→こちら
痛みに対してのSIMTの実践
SIMTの実践から1年半が経過した春、車のタイヤを交換しようとタイヤを持ち上げた時に、腰に激痛が走りました。
年度の始めの何かと重要な時期でした。
そこで「マインドフルネス」がどう激痛の緩和に生かせるのだろうか試すチャンスであると考えることにしました。
今までの私ならば、腹を固め、とにかく痛みに耐えて、「◯日までに痛みが引かなかったらどうしよう(予期不安)」とあたふたしたと思います。
そこでやったことは、いつもどおり呼吸法、行動時の痛みの観察でした。
それによって、リラックスして、身体の内部感覚に注意を向けることができました。
また痛みの急性期は痛みに飲み込まれがちで、痛みを憂い、嫌悪しているばかりの自分に気づきました。
今までは痛みは、矢のように患部に刺さっているかのように感じていたのですが、その時その時痛みは不規則に変化するものだと思えました。
そして、他の健全な身体の部位に「注意を移動」することで痛みが少しずつ気にならなくなることにも気づきました。
この経験は、自律神経の失調やトラウマを抱えているクライアントを理解し、支援する際に役に立ちました。
痛みは脳で生まれている
特に痛みの体験の中で、扁桃体と島皮質の密接な関係を理解し、瞑想実践者の島皮質が厚いことに更なる関心を持つことになりました。
そして、日々の実践によって痛みや緊張の不快さに飲み込まれてしまい、前頭葉が冷静な行動の指令を損なうことを幾らかでも回避できるのだという自信を持つことができました。
何かと問題だと感じてしまっていた私の身体ですが評価や嫌悪することを止めました。
整形外科で原因不明と言われる身体の痛みを抱えてきた私にとって、
マインドフルネス瞑想を継続して行うことで、痛みは得体の知れないものではなくなり、無理に変えようとせず、受け容れられるものになりました。
そして、自分を慈しみ、1つ1つ自分の身体の違和感を観察し、嫌悪するなく受容する中で、身体を健やかに保つ別の解決策に取り組めるようになりました。
クライアントの大半が、肩こりや腰痛を抱えた状態でセッションに申し込まれます。
その決して侮れない「症状」への向き合い方もSIMTは教えてくれます。腰痛治療に認知行動療法が用いられているとのことですが、SIMTにもその可能性を大いに感じています。
これらの経験をもとに、心も身体も軽やかに毎日を送っていけたら幸いなことであるなぁと思っています。