うつや不安障害を治すために自己流でマインドフルネス瞑想をやっている人が熱心にやっていない「2つ」のこと

トレーナーの羽利です。

マインドフルネスが注目されるようになり、北陸でもうつや不安障害、パニック障害などで悩んでいらっしゃった方が、当センターにもやっていらっしゃいます。

自己流でやってみても続けられないという理由でいらっしゃる方が多いかと思いきや、意外にも当センターで全く初めて取り組んでスタートという方も多いんですよ。

自己洞察瞑想療法を自力でやる人がなかなか続かない理由

私が思うに、マインドフルネス瞑想をうつ・不安障害からの回復に役立てていくことは、

マスコミではとても簡単なことのように取り上げられますが、そんなに簡単なことではありません。

なぜなら、マインドフルネス瞑想の入門書に紹介されている内容やCDなどを聞いてできるマインドフルネス瞑想は、そもそもが心身の症状を減らす、治す上での「ごく一部分」にすぎないからです。

そして、その「ごく一部分」のことも、継続することができないために、減らす・治おす方向へと進めない方が意外に多いのではないかと思うのです。

最初は、5分でもそわそわするなんてことも当然起きうることです。

人によって、瞑想に集中するために、アロマを使ったり、ヒーリング用のCDを使って乗り切ろうとする方もいますが、一時的には有効かもしれませんが、特にその必要はないと感じています。

個人的にはたまに、気分転換にっていうのはありかなと思っていますが、当センターで回復した方、回復中の方で、ずっと使っていた方、使っている方はいないと思われます。

最初は、いいかもしれませんが、「心地よいこと」に依存するのではなく、いつかは使わない方向で練習していくことをお勧めします。

このそわそわ感は、症状によるものであり、脳の習慣であり、脳の注意のネットワーク機能が、十分に生かせていない状態でもあります。

その脳の注意のネットワーク(さらにはワーキングメモリ)を活性することが、本来、症状を減らす、症状から回復する上で、大事なことです。

脳神経の可塑性は、まだこれからなのに、そこを乗り越えられないのは、もったいないことですし、私だったら、まだまだ諦めずに取り組めるようにアドバイスできるのになぁと思っています。

とにかく続けることなんです。

そして、うつ・不安障害を治すマインドフルネス―ひとりでできる「自己洞察瞑想療法」を自力でやろうとしている人は、

自分ができそうなところだけをやっていても得られる効果は一部なのだと理解して、可能な限り、忠実に行うことなんです。

自己流でやっている方がやってないこと①

自己流で心身の不調を治そうとしている人が、呼吸に注意を向ける瞑想以外にやってみたらいいと思うのは、2つあります。

まず1つ目は、「行動時自己洞察」です。

うつ・不安障害を治すマインドフルネス―ひとりでできる「自己洞察瞑想療法」

28ページに登場します。
行動時自己洞察は、起きている間なら、動いていても止まっていてもできます。

具体的には、「今ここに関係のないことを考えていること」に気づきます。

特に、予期不安や後悔などに取り憑かれていることに「あ、今、考えていた、思っていた」と気づき、そしてやめるという練習を何度もします。

気づきが起きるままに任せていると気づかないこともあるかもしれません。
ですから、「気づきを入れる」という意志を持ちながら、1日に何度も行います。

不安や後悔に限らず、特定の人や出来事に対しての否定的、嫌悪的な判断や評価が生み出す思考なども、苛まれがちではないでしょうか。

それをなんとかやめたいのであれば、

そういう風に考えてしまうのは、ある意味自然なこと、特に治療中の方は、最初のうちは「症状」なんだからと割り切って、早めにその思考のループから抜け出すことです。

ここで理由を考えてしまったりするループに入っている人は、一向によくなりません。
理由はもう少しよくなってから知るのでも遅くありません。

そして、自分が今、何に集中したいのかを、もう1度思い起こして、そのことに注意を向け変える、注意を移動するのです。

このことは、呼吸に注意を向ける静坐瞑想でもやっているわけですが、何せ行動時自己洞察は、起きている時間であればいつでもできます。

私たちはストレスや症状を抱えていても、他者との関わりを避けられない職場での仕事や家事を、その組織の一員として成果を出さなければなりません。

ですから、座って瞑想している時間だけがその練習ではなく、その成果を求められるその場で練習をすることが、脳の活性と仕事を進める上でも役に立つのです。

それから、日頃の食事、入浴、なんらかの行動・作業の時に、洞察を入れてみます。

呼吸に限らず、五感や身体の動きに注意を向けたり、行動・作業中に今集中したいことを関係のないことを考えているとしたら「あ、今、考えていた、思っていた」というように気づく。

このように、生活すべての場が、「気づき」のトレーニング、マインドフルネスのトレーニングになります。

気づけば変えることができるのですから。

自己流でやっている方がやってないこと②

それは、「記録をつける」ということです。

シート

フォーマットは、うつ・不安障害を治すマインドフルネス―ひとりでできる「自己洞察瞑想療法」の234ページにあります。

記録をつけることは「認知行動療法」においてはオーソドックスなメニューの1つです。

この書き方も、ちょっとしたコツがあります。

そんなにたくさんのことはかけません。せいぜいが3行から4行です。
その日、何をしたか、何が起きたのかを書くと小学生の日記のようになります。

書く内容は、その日の自分が気づいたことについてです。
自分の外側で起きていたことではなく、自分の内側で起きていたことを観察してみて気づいたことです。

こうして、1日を振り返って、文字にすることは、言語野だけに限らず、大脳の前頭葉、前頭前野ほか様々な脳の部位が関わります。

そして、書くことでまた新しい気づきが生まれ、気づけば変わることができるのです。

症状から回復していくクライアントの記録は読んでいてもわかります。

その方にとって、1日の中で心が揺れるような出来事を振り返って、見直してみて、新鮮な気づきや、自分にどういう判断や評価があるのかが赤裸々に書かれています。

トレーナーとしては、正直、このことが回復を支援していく上で、非常に重要な情報になります。

うつ・不安障害などからの回復は、クライアントが現状に役に立たなくなっている思考や感情、行動のパターン・習慣を変えていくことです。

その記録により、クライアントさんの習慣を知ることができ、何をどう変えていけるようにサポートすればいいのか回復方針が見えてくるのです。

ですから、我流でやる方も、やるならとことん書いてみることをお勧めします。

自分で自分が見えきます。自分を知らないことで苦しむのです。

おそらく、このように「気づくこと」に慣れていないと、第3(59ページ)以降、何に取り組んでいいかわからなくなる方が出てくるのです。

自己流のマインドフルネス瞑想で心身の症状を治そうとすることへの懸念

治療中の方が、マインドフルネス瞑想で症状を治すことを後押しするには、「行動時自己洞察」や「記録をつけること」がポイントになります。

ですから、マインドフルネス瞑想をやってはいるけど、遅々として心身症状がよくならないという方は、

1度、本当にマインドフルネスで治すことについて、やっていればなんとかなるという考えは一旦傍において、もう1度、やり方を直してみて欲しいのです。

いたずらに時間を使わずに、10ヶ月集中して取り組むことで、すっきりとした以前のような生活を取り戻していただくことを願っています。

  • この記事を書いた人

羽利 泉(はりいずみ)

石川県金沢市でカウンセリングや「うつ・不安障害を治すマインドフルネスーひとりでできる自己洞察瞑想療法ー」の講座をしたり情報を発信している公認心理師(国家資格)・マインドフルネス瞑想療法士です。マインドフルネスの実践を通し、心身症状で悩む方のサポートをしています。