「他人が嫌い」は「自分が嫌い」とかなり等しい

トレーナーの羽利です。

この仕事をしていると、クライアントの何割かの方の「他人が嫌い」「他人が気に入らない」「他人が憎い」などの他者への嫌悪感情に一緒に向き合うことが多々あります。

ほぼ全員かもしれません。

私も人間なのでもちろん他者への嫌悪感情ありますよ。

相手の無神経、無自覚さ、無作法、過干渉、不躾さ、そして私が抑制・抑圧していることに相手があまりにも自由すぎることへの嫌悪、嫉妬、羨望など、その他いっぱい・・・

もう腹立たしいったらありゃしない!

しかし、なぜ、私たちはその相手の嫌いな部分に目が行ってしまうのでしょう。

自分にないものは探せない

心理学には「投影」という働きがあります。

心理学における投影(とうえい、英: Psychological projection)とは、自己のとある衝動や資質を認めたくないとき(否認)、自分自身を守るためそれを認める代わりに、他の人間にその悪い面を押し付けてしまう(帰属させる)ような心の働きを言う。

たとえば「私は彼を憎んでいる」は「彼は私を憎んでいる」に置き換わる[2]。これには責任転嫁(Blame shifting)が含まれ、たとえば習慣的に失礼なふるまいをしている人は、いつも他者を失礼な人だと言って回っているケースがある。一般的には悪い面を強調することが多いが、良い投影も存在する。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用

もう、飛躍的に言ってしまうと「あの人はあなたなのです」。

いやー、そう言われても釈然としませんよね。

ここだけの話、セラピストとしては、それを直接的に言うわけにはいきませんので、少し蛇行しながらこのことにたどり着くように対話をするわけでなのです。

クライアントの皆さんが葛藤するのもわかりますが、たいがいの場合、最後は「爆笑」で軟着陸します。

最後は、「私が私を好きじゃないんですねー」と。

自分を好きになるには

そこで、長年にわたり「私が私を好きじゃなかった」のだから、楽になるには、今までの反応パターンを変えることが必要になります。

そして「私を好きになってみよう」というのは、自分に関しての嫌悪感情を、感情が起きない、または好意感情に変えるプロセス経ます。

ところが、自分を嫌っていることに気づくことは難しいのです。

なぜならば指先が相手に向いているからです。

だから、まずは「自分は自分が好きじゃないのかもしれない」ってことに気づいて、自分を好きになる練習も必要なんじゃないかなと思うんです。

そのために、自分に対しての嫌悪感情を変えるべく、自分で制御可能な思考と行動を獲得していくということです。

これは、頭でわかっていても、イメージトレーニングできても、不十分です。

なぜならばそれは「習慣」だからです。

経験が成功体験になり、自分のトライアルに満足できると、習慣になって、やがて自分を好きになることができるのではないかと考えるからです。

非習慣的なやり方を身に着ける

じゃ、どうしたらいいのでしょう?

私は、自分を好きになる時に、クライアントさんと一緒に取り組んでみたいなと思うのは、

これまで何気なくやっていたことを別のやり方でやってみる、別の関わり方をしてみる。

つまり、これしかないと思っていたことに対して選択肢を増やしてみるということです。

具体的に言うと、

ある人は、家族から「あんたはやることなすこと本当に遅いんだから」と小言を言われています。

そして、それに対して、いつも苛立ち、最初は「うるさい!」と反射的に暴言を吐いていました。そう言う自分にも嫌気がさし、次第に反応しないで黙ると決め込んでいるとします。

しかし、それによって波風は立ちませんが、自分の胸のうちは釈然としていません。

そこで「ありがとう。心配いらないよ。もう準備はしてあるから」と言う、「肯定+否定+肯定」という話法を使ってみたとします。

最初のうちは相手は、反論してくるかもしれませんが、何度か続けていくと相手の反応も変わり、相手のパターンも変わってくる場合があります。

私たちが黙り込んでいると、相手は童話「北風と太陽」の「北風」のままなんですよね。

だから、私たちは、少しでも自分の言動に工夫をし、自分の成功体験を重ねながら、「やればできる」とか「私ってできるヤツだなー」って思うことを

1つでも重ねていくことが自分を好きになる着実な方法なんじゃないかなって思えるんです。

今のままでは今のまま

何か少しでも「今までの当たり前」を横に置いて、新しいことを試してみよう。

心理療法・精神療法の行き着く先は、平たくいうとそれに尽きる。

心理療法・精神療法に限らず、大人の学習というもの極意がそこにあるんだと思う。

以前、「自分はうつじゃないから、心理療法はちょっと抵抗がある」と言われたことがありました。

そうだよね・・・

病気かそうでないかは抜きして、苦しい生き方、時に他者を苦しめる生き方を修正する。

本当は、そういうことで生きやすくなる人ってたくさんいるはず。

私の仕事は、もっと具体的に言うと「幸せに生きるための、思考や行動を成熟させていくこと」を助けているんじゃないかなと思っていまして、

そう考えながら、既存のプログラムを整理し、新しいプログラムの準備をしています。

早く形にできるように頑張ります!

  • この記事を書いた人

羽利 泉(はりいずみ)

石川県金沢市でカウンセリングや「うつ・不安障害を治すマインドフルネスーひとりでできる自己洞察瞑想療法ー」の講座をしたり情報を発信している公認心理師(国家資格)・マインドフルネス瞑想療法士です。マインドフルネスの実践を通し、心身症状で悩む方のサポートをしています。