自己洞察瞑想療法の体験談:人生第2のスタート、これからは自分らしく生きる ―呼吸とともに安住した場所を感じながらー(後編)(50代:女性)

トレーナーの羽利です。

自己洞察瞑想療法(SIMT)のセッションの回復者の方(有志)からいただいた体験談を順次公開させていただいております。

人生第2のスタート、これからは自分らしく生きる ―呼吸とともに安住した場所を感じながらー(前編)に続き、後編を公開します。

後編では、10セッションを終えての抱負とこれから自己洞察瞑想法を始める方へのメッセージをいただきました。

今後の抱負

北陸マインドフルネスセンターのレッスンを終えて数か月経ち、断薬の時期を向かえました。断薬した2日後から離脱症状が始まりました。

以前の私とは違い、ふらついた時には「ただふらつく」という内的感覚を感じながら過ごすことができました。

ふと浮かぶ不安という感情によって、薬が長年のお守りとして安心していた本音とも向き合うことができました。

これから色々なことがあっても「もう大丈夫だ」という自信に繋がりました。この経験を忘れず過ごしてきたいと思います。

今まで夢中になる趣味など余りないと思っていた私でしたが、今ではモノづくり(お菓子作り、ミシン作業、DIY)を思い切り楽しんでいます。

これからもいろんなことにチャレンジしていきたいと思います。

そして平凡でも穏やかに家族と笑顔で過ごし、誰かの役に少しでも立てるように毎日を送れることが私の幸せであり目標です。

自分を愛し生涯SIMTとともに生きていきたいと思います。

これから自己洞察瞑想療法を始める方へ

私は長い間「心の病気になるのは自分が弱いからだ」と思っていました。

しかし、セッションを受けた最初にうつ病になるプロセス、自分を苦しめる反応パターンを学び、心の持ちようで治るものではなく脳の病気だと知りました。

だからこそ、そのパターンを変えていくには少し時間が掛かるものだということもご理解いただけると思います。

時間を掛けても、決して諦めずにコツコツと続けて行ってほしいと思います。

それだけの価値があるものだと私は思っています。

投稿文を拝見してのコメント(羽利泉)

小野さん、約15ヶ月にわたる実践、本当にお疲れ様でした。

小野さんの実践の優れた点についてご紹介いたします。

納得から体得へ、妥協しない強固な意志

小野さんのサポートを始めるにあたって、私は1つ方針を提案していました。

それは、単に症状を改善させたり、自分の弱いところを直したりするという発想でなく、自己洞察瞑想法を体得するということをゴールにしましょうという提案でした。

当初は、身体症状が一進一退でもあったので一喜一憂はいたし方ないと思いましたが、方針をご理解いただいてからは、テキストの徹底した理解と実践が始まりました。

おそらく何度もテキストを読まれたことと思います。

わからないことは納得できるまで質問をなさり、最終的に体得につなげていかれました。

的をえた鋭い質問も多く、実践は真剣そのもの。それを15ヶ月間貫かれたその態度は、SIMTの実践者の模範でした。

新鮮なものへの開かれた好奇心

小野さんは、長い間、自己対話を繰り返し、ご自身を長期間にわたり見つめられたことと思います。

長年の苦しみから、自分を良くしていく向学心はもともと強くあり、それゆえ、「新鮮」なことへの純粋な興味・好奇心も人一倍でした。

常に学ぶことにオープンであったことが新たな発見、驚きにつながりました。

あるがままに観ることがつかめた時の感動と喜びは私の感動と喜びでもありました。

学びを日常生活ですぐに応用する

小野さんがご提出される記録表Aには、各セッションで学んだことをいつも日常生活の中で確認する努力が綴られていました。

「記録に書いている自分にとっての感情が揺れる問題場面にリアルタイムで対処できるようになりたい」。

これは実践者にとってなかなかできることではありません。

しかし高い目標を定めた小野さんは、次第に「気づきのタイムラグ」を縮めていかれたのでした。

記録に残し、顕在化したご自身にとって不都合な出来事から、逃げようとせずに粘り強く行動を改善されました。

また、断薬による離脱症状をSIMTで乗り切られたことを最終セッション終了後にうかがった時には感動しました。

もともと身体症状もいくつか抱えていらっしゃいましたから、感覚の観察はされていたのは存じていました。

そこでふらつく身体感覚も冷静に観察されながらも予期不安を拡大することなく、しっかり「今ここ」にいる練習をされたことは、実践の好事例であり、ぜひ多くの方に紹介しなければと私自身が興奮いたしました。

ここまでSIMTを徹底して実践していただきましたことは、支援者冥利に尽きることでございました。

危機を乗り越え、断薬まで自分でつかんだ自信

40代・50代の女性は、更年期と更年期の終了などホルモンバランスの変化に対応した生活を送ることになります。

加えて、子育ての終了、介護へと家族関係の変化も大きくなります。

その時期に、いくつかの身体症状に耐えてこられたことは本当に苦痛の連続だったと思います。

8セッションで、歯科治療の苦しみとご両親の病後のお世話の葛藤を同時に経験された時には、少し気負いすぎた実践をクールダウンする機会にもなりました。

その判断をご自身でなさいました。

心配はしましたが、ご自身でこのような判断を下されたこと自体、小野さんはもう大丈夫だと私は確信していました。

自分で自信をつけられたのです。
本当に見事な、成熟した大人の判断でした。

小野さんとは15ヶ月間、いろいろと泣き笑いしたことが思い出されます。

そして、この間の小野さんの変化をご家族はお喜びになったことでしょう。

これからは、ますますご家族との間にたくさんの笑顔が生まれますように、そして、ご主人と二人三脚で、今のお仕事で描かれている理想を維持、実現なさってください。

セッションは全てオンラインで画面越しでした。いつか実際にお会いできる日を楽しみにしています。

どうかお元気で。ますますのお幸せを祈っています

  • この記事を書いた人

羽利 泉(はりいずみ)

石川県金沢市でカウンセリングや「うつ・不安障害を治すマインドフルネスーひとりでできる自己洞察瞑想療法ー」の講座をしたり情報を発信している公認心理師(国家資格)・マインドフルネス瞑想療法士です。マインドフルネスの実践を通し、心身症状で悩む方のサポートをしています。