身体の症状や心の苦しみがあっても「価値」に向かって行動できれば「OK」とする

私たちが抱えている心身の症状というのは、ある日ピッタリとゼロになる訳ではありません。

たとえ、気にならなくなって、調子がよくなったなと思っても、からだの症状であれば、気候の変化や仕事の繁忙、人間関係のちょっとしたストレスによって、再燃したりします。

そのことについて自己洞察瞑想療法はどのように考えるでしょうか?

価値実現、価値崩壊とは

基本的に、自己洞察瞑想療法は、うつ・不安障害を治すために開発された精神療法ですが、

実際には、うつ・不安障害が治らない、なかなか治すことができない、思考・感情・行動が織りなす何らかのパターンを「意志作用」を強化することで改善していくものです。

治らない、治すことができない思考・感情・行動のパターンを、価値崩壊のパターンといい、治る方向に向けた思考・感情・行動のパターンを価値実現のパターンといいます。

「価値」というのは、あなたが長期的に叶えたいと思っている願いのことです。

自己洞察瞑想療法では、何のためにこのトレーニングをするのかという「指針」「目的」になるものです。

「つらい」と「動けない」を切り分ける

誰でも症状が強く出てつらい時には、積極的に動きたいとは考えにくいものです。

できれば布団にくるまって寝ていたい、テレビや動画を見てまったりしていたい、とにかく症状が和らぐまでは、動きたくないと考えてしまうのは、自然なことです。

ところが、自己洞察瞑想療法では、つらい時も、自分の価値(願い・目的)が叶うことを1つでも2つでも実践すると考えます。

これは、自己洞察瞑想療法に埋め込まれている「行動活性化手法」によるものです。

大きなことでなくてもいい

うつ・不安障害を治すマインドフルネス―ひとりでできる「自己洞察瞑想療法」の50ページには、行動活性化手法の具体的な行動が書かれています。

かいつまんで書きますが、詳しくは書籍で確認してください。

家事や片付け、掃除、買い物、図書館に行く、大脳の前頭前野を活性するような活動(手指の運動や脳トレ、写経、絵を描く、手芸、音楽を聴く)、コーヒーやお茶を飲む(ノンカフェインのものがよい)、散歩、社会活動に参加・・・

などです。

つらくてそれどころではないという場合も、なるべく「よくなるために」と自分の価値(願い・目的)を思い起こす、そして動く。

実はこの瞬間こそが、意志作用という自己洞察瞑想療法で強化したい意識作用のトレーニングの決定的瞬間なのです。

この時に、うつ・不安障害の症状を引き起こす脳の病変を治していく鍵を握る大脳の前頭前野が活性するのです。

だから、一念発起して「えいっ」と動いてみて欲しいと自己洞察瞑想療法では考えるのです。

とはいえ、つらいものはつらい、そんな時は

とは言え、つらいものはつらい、どうしても動けないということも、症状が重い時にはあると思うのです。

そんな時には、自己洞察瞑想療法の「呼吸法」で「やり過ごす」ようにします。

つらい時には、何もできないと思うかもしれませんが、「呼吸」はしているはずです。

その呼吸を、意識的に吸うより吐くを長くしたり、自己洞察の練習をしながら行うのです。

つらくて呼吸もできませんという人は、かなり激痛の最中にいる方かもしれませんが、それでも意識的な呼吸は、痛みの軽減にも役に立ちます。

何もしないより、価値実現のために何かする

とは言え、何かこれが義務感となってしまうと、つらい練習になってしまいます。

なので、ぜひ、あなたがこれならできるというお気に入りの行動を1つ見つけてくださいね。

お気に入りのスキンケアグッズでスキンケア・ハンドケアやネイルケアのようなものもいいですね。

歯磨きを丁寧に行うとか、おやつをゆっくり丁寧に感覚・運動傾注法(うつ・不安障害を治すマインドフルネス―ひとりでできる「自己洞察瞑想療法」28ページを使って食べてみるのもいいですね。

無理のない範囲で動いてみます。

症状があるから、不安だから、イライラするから、思考が止まらないから、集中力がないから、だからできないというように、結びつけてしまうのも、歪んだ考え方の1つです。

できる行動を無理なく増やしていきましょう。

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  • この記事を書いた人

羽利 泉(はりいずみ)

石川県金沢市でカウンセリングや「うつ・不安障害を治すマインドフルネスーひとりでできる自己洞察瞑想療法ー」の講座をしたり情報を発信している公認心理師(国家資格)・マインドフルネス瞑想療法士です。マインドフルネスの実践を通し、心身症状で悩む方のサポートをしています。