冬の石川でマインドフルネスを哲学する(1):鈴木大拙館と西田幾多郎記念哲学館で2人の哲学者の友情に学ぶ

西田哲学館

この冬、鈴木大拙館と西田幾多郎記念館は交流協定5周年を記念して特別展が開かれています。

鈴木大拙館の企画展→ホームページのお知らせ
西田幾多郎記念哲学館の企画展→ホームページのお知らせ

ホームページを見ていたら、

鈴木大拙館の企画展のテーマには「思索と体験」という西田幾多郎の代表作名がつけられ、西田幾多郎記念哲学館(以下西田哲学館)の企画展には「禅」と鈴木大拙の代表作名がつけられているのに気付きました。

哲学館同士が本当に敬いあって、生前の2人が交流するかのように企画が考えられているような印象を受けます。

この2つの哲学館にも友情を感じます。

大拙館の方は、晩年の大拙の書の中でも未公開のものが公開されているようです。
西田哲学館には、はたまた親友の1人の石川県出身の教育者:山本良吉とのやりとりから旧制四高の教員時代の葛藤にフォーカスされるようです。

鈴木大拙館の方は、2017年1月29日まで、西田幾多郎記念哲学館は2017年3月26日までです。

個人的な話になりますが、

トレーナーの私は、この2人の功績の偉大さに気がつかなければ、東京からUターンしてきませんでした。

今は、マインドフルネスのトレーニングに関わりながら、とかく欧米の研究や実践の影響を受けている日本において、

「いやちょっと待って、欧米に英語で禅を紹介したのって鈴木大拙だよね?」
「西田哲学だって外国語に翻訳されて世界で読まれてきたよね?」

って思うと、私の場合は、なんだか流行りもののマインドフルネスの本をそんなに「乱読」する必要はないかなと思えるんです。
(もちろん素晴らしい実践書には何冊も出会いました)

鈴木大拙の端的な表現の連なりと比べると、西田哲学は私にとってはそれはそれは難解なものに感じられてなりません。

しかし、この3年ぐらいの間に、瞑想や身体に向き合うメソッドにいくつも出会いながら、静かな時も動きの中でも、だんだんとこの2人の言わんとすること、禅的な考え方が体験と結びついていくのを感じます。

数年前は、全く手も足も出なかったと言う西田哲学に近づいていることをかすかに感じています。

静坐瞑想にしても、日常生活の行動1つ1つの実践の中でも、可能であれば、マインドフルでいられる時間を増やせたらなと思っています。

私は、本で学んだことも大切ではあるけれど、体験と結びついて、自分なりの気づきと新たな実践が連なっていくことを観察していくこと、時に思考や行動を修正していくことにこそ興味があるのだと思います。

さらに言えば、自分のやっていることが、少しでも、自分以外の方や世の中が良い方向に進んで行くことに役に立っていくのであればそれに越したことはないのですが。

私自身は、マインドフルネスが仏教の修行法に端を発するとは言え、仏教をダイレクトに学んでいくのはもう少し先と決めていて、今は、大拙・幾多郎、この2人からまだまだ学びたいと思う日々です。

この冬が楽しみです。何回も行ってしまいそうです。
皆さんとも、ぜひ共有させていただきたいです。

  • この記事を書いた人

羽利 泉(はりいずみ)

石川県金沢市でカウンセリングや「うつ・不安障害を治すマインドフルネスーひとりでできる自己洞察瞑想療法ー」の講座をしたり情報を発信している公認心理師(国家資格)・マインドフルネス瞑想療法士です。マインドフルネスの実践を通し、心身症状で悩む方のサポートをしています。