禅で旅する石川:金澤と禅(1)曹洞宗の聖地・本格的な普及の始まりは金澤から

トレーナーの羽利です。

私は、ここ2年、マインドフルネス精神療法協会の協会誌に、紀行文を投稿しています。

今回は、昨年投稿した「マインドフルネスの聖地:北陸紀行 第2回 金澤と禅」を、WEB用に一部修正して皆さんにもお読みいただければと思います。

はじめに

2017年、マインドフルネス精神療法の第2巻において、西田幾多郎博士のふるさと:石川県金沢市・かほく市を中心とした紀行文を投稿させていただきました。

今回は、北陸新幹線開業3年目を迎え、国内外からの観光客で賑わう金沢の街と「禅」に着目して、「禅をテーマに金沢を旅するならここだ」とおすすめしたい2つのスポット「大乗寺」「鈴木大拙館」を中心にご紹介をします。

金沢と禅

さて、皆さんは、「金沢と禅」と聞き、ピンときますでしょうか?

「善の研究」で知られる哲学者:西田幾多郎博士は、石川県の出身です。

その西田博士の研究は、熱心な禅の修行に裏打ちされ、旧制四高の学生時代から「臨済宗」で修行を積みました。

しかし、現在、石川県に「臨済宗」の寺院で、地域に強く影響を与えている寺院があるかというと思い当たりがありません。

石川県は、浄土真宗の信徒が多い「真宗王国」ですが、実は、曹洞宗大本山總持寺(開山は石川県輪島市、現在は横浜市鶴見区へ移転)を中心とした曹洞宗の聖地でもあります。

道元禅師が開山した曹洞宗総本山永平寺(福井県)ほかで修行を積み、さらなる求道に励んだ禅師が、曹洞宗の広がりに影響を与える活動を精力的に行った土地が金沢なのです。

また、金沢の街を表現するキャッチフレーズの定番は「百万石の城下町」です。

金沢は、戦禍や大災害を回避することができたことから、歴史的建造物や古い街並み、文化財が保存されている稀有な街の1つとも言えます。

前田利家公を藩祖として、今も名の絶えることのない前田家の城下では、武士の修養とも言える「禅」が、芸事や工芸によって、武士から町人の暮らしの中にも溶け込んでいきました。

豊かな「禅文化」を育まれ、今に至ります。

金沢では、今も「禅」を感じる空間、慣習などに気づかされることが多々あります。

永平寺と總持寺:北陸は曹洞宗の聖地

前述の通り、石川県は、曹洞宗大本山總持寺(現在は祖院)を中心とした曹洞宗の聖地と言えます。

写真

曹洞宗は、総本山・大本山と2つの本山を有し、それぞれが異なる役割を果たし現在に至っています。

曹洞宗総本山:永平寺(福井県)は、道元禅師を開祖とし、只管打坐を基本とする出家主義を貫く立場を堅持する一方で、

大本山:總持寺は、より民衆に近いところで積極的に教義を広めていく役割を担ってきました。

出家者のためだけの曹洞宗であってはいけない、より積極的に教義を広げていこうと最初に拠点が映されたのが、加賀国の大乗寺(金沢市)でした。

続く

  • この記事を書いた人

羽利 泉(はりいずみ)

石川県金沢市でカウンセリングや「うつ・不安障害を治すマインドフルネスーひとりでできる自己洞察瞑想療法ー」の講座をしたり情報を発信している公認心理師(国家資格)・マインドフルネス瞑想療法士です。マインドフルネスの実践を通し、心身症状で悩む方のサポートをしています。