鈴木大拙館企画展「大拙をめぐる人々」に寄せて:ビートニク・鈴木大拙そして佐野元春さんと

daisetumegu

トレーナーの羽利です。

春に向かっての鈴木大拙館の企画展のご案内をいただきました。

さて、2018年2月1日(木)〜4月22日(日)まで開催されるこの企画展:芸術家や作家との関わりに着目しているとのこと。

ご案内に目を通す中で、個人的に「マジで?」って思ったのが、そこに「ジャック・ケルアック」の名前があったこと。

なんと今回は、なんとジャック・ケルアックの展示物があるとのことです。

ビートニクの代表格:ジャック・ケルアック

ジャック・ケルアックは、日本のアートにも影響を与えたアメリカのビートニクの代表格と言える方です。

で、そのビートニクって何よって話ですよね。

…1950年代のアメリカに起こったビート運動になんらかのかかわりをもった世代(ビートニクbeatnik)の総称。ビート運動は,抑圧的で非人間的な機能をもつ社会体制と,そこに安住しようとするスクエアsquareすなわち保守的で中産階級的な価値観とに反逆し,人間性の無条件な解放のために積極的に貧困に甘んじ,原始的なコミューン生活を行おうとする一種の生活運動である。…
世界大百科事典の「ビート・ジェネレーション」より引用

ものすごく乱暴に言うと、型にはまらずに、自分であり続けた、あり続けようとした人たちとも言えるのかも。

ま、アーティストとはそういうものだと言われてしまえばそうかもしれませんので、もっと別の表現もあるかもしれないですが、私なりに。

そして、彼らの表現は、当時の多くの若者たちに影響を与えて行きました。

佐野元春とビートニク

私は、中学生の頃から佐野元春さんというソングライターが好きです。
(もちろん歌ってもいるけど、佐野さんが「ソングライター」と表現されるのでそう書きました)

その佐野さんが、多大なる影響を受けているのが「ビートニク」です。

私がまだ若い頃は、あまりよくわかっていなかったのですが、この年になり、佐野さんの曲を35年分聞き、その仕事を知り、世界観を知っていく中で「ビートニク」の存在がものすごく大きいことを思い知ってきました。

最近では、アルバム「Zooey」というのは、ビートニクよりも少し早く活躍したサリンジャーの「フラニーとズーイ」から命名されたんだろうなとか、

楽曲「星の下、路の上」というのはジャック・ケルアックの作品「路上」からきているのかなとか、そんな風にわかるようになってきたりもするのですが、

この「ビートニク」が影響を受けたのが鈴木大拙の禅だったのです。

これは、以前NHK「こころの時代」で「大拙先生と私」という特集で知ったことなのですが、

鈴木大拙の秘書をされていた岡村美穂子さん(鈴木大拙館名誉館長)が、ジャック・ケルアックが鈴木大拙を訪ねて来た時に、「禅でいう自由」は「ビートニクの自由」とは違うものであると語ったという話をされていました。

1960年代頃のお話でしょうか・・・

ですから私はまだ生まれてもおらず、ビートニクは佐野さんを通していなければおそらく知らなかったと思います。

そして、ジャック・ケルアック、アレン・ギンズバーグ、ウィリアム・バロウズといったビートニクスが影響を与えていったのが「ヒッピー世代」です。

そして、ヒッピーって本当のところなんなの?って調べたりもしました。
私が生まれた頃〜まだ幼子の頃のアメリカの若者のあるグループの総称ですから、謎ばかりでした。

この世代が残したアートワークは今も絶大です。
こんな人たちがヒッピー世代です→wikipedia「ヒッピー」

そして、あのスティーブ・ジョブズもヒッピー世代。

ポエトリー・リーディングとビートニク

佐野さんは、名曲「SOMEDAY」が大ヒットした後、急にニューヨークへと旅立ってしまうわけですが、その後にリリースされた「VISITORS」は衝撃的なものでした。

VISITORS

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佐野元春
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日本に初めて「ヒップホップ」「ラップ」が持ち込まれたのです。

そして、怒りや寂しさ、ちょっとした「ヤバさ」などが以前よりもストレートに表現されていて、それまでのぶっちぎりの疾走感から、ビートに乗っていく詩の細やかさや力強さみたいなものを一層感じるのでした。

そして「反戦」のメッセージも。

このラップの原型が「ポエトリー・リーディング」だったのですね。
ビートニクの真骨頂とも言える表現です。

訳すると「詩の朗読」みたいになってしまいますが、実際には詩をビートに合わせていく感じではないかと。

そういうことだったのか!と感動したのが、この番組でした→こちら
佐野さんがとても詩を大事にしていることが、このような流れを追っていくとよくわかります。

そういう風に聴けるようになったのは、この数年です。

古いアルバムをこういった視点で聞くことによって、特にアルバム「The Circle」以降の世界観が今の私には味わい深いものになっています。

The Circle

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佐野 元春
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歌い上げられる、禅というか、東洋一元観的なワールドに。
何と言っても、数年前まで「禅ビギナーズマインド」の帯は、スティーブ・ジョブズではなく、佐野さんだったんですから。

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佐野元春を知らない世代へ

おそらく40代以降であれば、佐野さんの曲を1曲ぐらいは口ずさめると思うのですが、それより下の世代になるとあまり聞いたことがないという方もいると思います。

でも、ライブには若い世代もチラホラいらっしゃっています。

ニュージェネレーションのための佐野元春CDガイド

では、おすすめのCDがいくつか紹介されていますが、私は「The Circle」と「VISITORS」は、聞いてほしいアルバムの2枚です。

「アンジェリーナ」や「ガラスのジェネレーション」「SOMEDAY」で終わっている世代にもぜひ。

と、今回は、私の個人的な趣味の観点から書かせていただき、結びとしました。
ファンの方は、ぜひ佐野さんの作品の奥にある「ジャック・ケルアック」のアート作品に触れてみませんか?

まさかこんな風に記事を書き終えることになるとは(汗)

  • この記事を書いた人

羽利 泉(はりいずみ)

石川県金沢市でカウンセリングや「うつ・不安障害を治すマインドフルネスーひとりでできる自己洞察瞑想療法ー」の講座をしたり情報を発信している公認心理師(国家資格)・マインドフルネス瞑想療法士です。マインドフルネスの実践を通し、心身症状で悩む方のサポートをしています。