第6セッションが扉を開けるカギ:自己と洞察瞑想療法で、うつ・不安障害から回復したり、スランプから脱することができている人は実際のところなぜよくなるのですか?

トレーナーの羽利です。

先日、いよいよ金沢で「マインドフルネス瞑想療法士育成講座(第6期)」が始まりました。

地方都市で協会のある埼玉で行われてきた講座と同じように開催するのは初めてのことで、実に画期的なことです。

この講座の受講者の方は、現在のところ、うつでも不安障害でもありません。

しかし、私も含めて、受講者の方々は、人生が順風満帆であった方ばかりではなく、体験は違っても、うつ・不安障害の方を理解する共通の基盤があるように感じます。

そんな方々が、うつ・不安障害の方と同じようにセッションに取り組み、大半の方が非常に大きな「気づき」を遅かれ早かれ得ることになります(厳密に言うとその後も得続けます)。

さて、それは10ヶ月のどのあたりで起きるのでしょうか?

自己洞察瞑想法における最大の山場は、第6セッション

第6セッションは、

うつ・不安障害を治すマインドフルネス―ひとりでできる「自己洞察瞑想療法」
大田 健次郎
佼成出版社
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109ページから19ページに渡って書かれている自己洞察瞑想療法の後半のトップバッターであり、自己洞察瞑想療法の最大のポイントです。

おそらくですが、

このセッションの実践に習熟することが、自己洞察瞑想療法で治す・スランプを脱することに向けて扉を大きく開けると言えます。

もう、実践会に来てくださってる方々はご存知のように、

他者との交わりを避けて、1人静かに瞑想するだけでは、症状の回復やスランプからの脱出には不十分なのです。

しかも、この実践は、静坐瞑想に止まらず、日常生活の自分の感情が大きく揺れる時、人によってはちょっとした修羅場でこそ実践されるものであるのです。

繰り返される後味の悪い経験とそこで味わう不快な感情への現実的な対処を練習していくことが回復やスランプ脱出には必要なのです。

そして、それらがすでに終えている5セッションの実践の実践力の上に成り立つものであります。

自己洞察瞑想療法における本音

111ページにポイント2:「見えにくい心・本音」という内容がレクチャーされています。

日常的に扱われる本音の意味は、言葉では表現していない「本心」と言えると思います(↔︎建前)

大田健次郎先生は著書の中で、

この心理療法で扱う「本音」とは、言葉で他人に向かって表現されたものばかりではなく、心にあって、自分で気づいているものも、明確に自覚されていないものも含みます。引用「うつ・不安障害を治すマインドフルネス―ひとりでできる「自己洞察瞑想療法」111ページ

で書いていらっしゃいます。

そして、その本音が、事実に解釈を加え、ありのままに、見たり、聞いたり、感じたりすることにしていることを妨げます。

例えば、瑣末な例ですが

私は挨拶をしたのに、相手は挨拶を返すことなくその場を立ち去ったというケースについて考えてみます。

解釈を極力排除しますと、

あなた:「おはようございます」と、相手に向かって言った。
相手:相手からは挨拶がなく、通り過ぎて行った。

となります。

しかし、そこには

「無視された」「私、何かしたっけ?」「こっちが挨拶してるのに何よ!」「挨拶されたら返すのが常識でしょ!」「挨拶もできないのか!この人は」「こんな人が上司(部下)なんてついてないなぁ」「もうこの人に挨拶するのは今後はやめよう」などのつぶやきが少なからずあります。

そのつぶやきを発動させる、奥に働くものが自己洞察瞑想療法でいう「本音」です。

上記の事例で言えば、不満、憤怒、攻撃心、他者批判、絶望、回避などがそれにあたります。

気づきにくい本音

テキストの113ページは5つのタイプの本音が示されています。

本音は、頭でわかっても自分の中で発動されていることには気づきにくいものです。

なぜなら、それらは習慣になっており、ものすごいスピードで立ち上がってきて、

しかも、見つめるには、陰鬱であったり、破壊的であったり、傲慢であったりで、なかなか認めにくい。

何年もの間、私たちの体の一部として機能して、自動的に働いてきました。

認めにくい上に、自動的に働いているので気づくのが実に難しいのです。

しかも、1つや2つではなく、まるでブドウの房のようにつながっている場合もあるのです。

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おそらく、大きな粒の本音には比較的容易に気づくでしょうけど、セッションをしていると、他にも芋ずる形式で出てくる場合があります。

しかし、この本音を恐れずに、嫌悪せず、積極的に気づくことがうつ・不安障害や人生のスランプにある方に不可欠と考えるのが自己洞察瞑想法なのです。

本音をなくすことは目指していません

本音を発見した時に、「これか〜、私(相手)を苦しめてきたものは!」と衝撃を受ける場合があるかもしれません。

だからと言って退治しようとしないでください。

むしろ、元気よく飛び出してきた時に、とっさに気づき、それを大きく育てるのではなく、冷静に観察をして、しばらく引き出しの中に入ってもらいます。

そして、「今、ここ」で自分が取り組もうと思っていたことに注意を向け、そのことを行動を通して実現します。

つまり、今まで不快さのあまりに冷静でいられなくてとっさにしていた反射的な反応を、建設的で意志的な反応に変えていくのです。

このトレーニングを何度も何度も実際の生活の中であたかも「筋トレ」のように行っていきます。

このことが、自己洞察瞑想法の全体の最大のポイントと言っても過言ではないと思います。

そして、そのなかなか引き出しに治ってくれない本音の収め方は、第7セッションにて「包む心・受容の心得」として学んでいくことになります。

この第6・7セッションの実践は、うつ・不安障害の方でなくとも、すべての方の人間的な成長に影響を及ぼします。

私個人的にも、この第6・7セッションの2セッションの実践を日々、自分で繰り返しながら、不快な感情に苛まれることなく、考えても仕方ないことで思考を無駄づかいすることなく、肝心なことはよくよく考えて行動をしていきたいと思って日々実践をしています。

探してみよう自分の本音

では、次の場合どんな本音が働いているのでしょう

「そんなに効果的なセッションなら、そこだけやったらいいんじゃないですか?」

確かに、できない訳じゃないですが、考えて欲しいのは、そこであなたに働く本音は何なんでしょう?
テキスト113ページを見て探してみましょう。

短時間に効率よくおいしいところだけ学びたいという効率への「執着」
自分にはできるという「プライド」や「慢心(うぬぼれ)」
手間がかかることはやりたくない「回避」

などの「執着系の本音」が観察対象になるかもしれません。

「まだ10分瞑想するのも精一杯の私がとてもそこまでできるとは思えません」

確かに、最初のうちはそうですよね?
テキスト113ページを見て探してみましょう。

自分にはできないという「自己否定」「劣等感」
自分にはできるのだろうか「自分への不信」
私は、とにかく自分のやり方でやっていきます「自己への執着」

などがあるかもしれません。

どうでしょう、こういった本音たちがあなたを苦しめる思考の引き金になっていたり、行動を抑制してしまっていたりということはないでしょうか?

そういうことを通して、自己を深めていくのが自己洞察瞑想法なのです。

ただし、この深めていくとは言っても「本音」はまだまだ浅い自己が発動しているのです。

深めていくというのは、まだまだ先があります。
その先には何があるんでしょう?

ぜひ体験を通して一緒につかんで行きましょう。

ではまた。

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  • この記事を書いた人

羽利 泉(はりいずみ)

石川県金沢市でカウンセリングや「うつ・不安障害を治すマインドフルネスーひとりでできる自己洞察瞑想療法ー」の講座をしたり情報を発信している公認心理師(国家資格)・マインドフルネス瞑想療法士です。マインドフルネスの実践を通し、心身症状で悩む方のサポートをしています。