【参考図書】学び方の学び方 ー脳のしくみを理解して学習効果を高めるー

トレーナーの羽利です。

自己洞察瞑想法を教えて5年が経過し、どうすればクライアントがよりよく回復していくのか、すこし大きな変化が起こすべく試行錯誤が続いています。

先日、こんな本を読みました。

学び方の学び方

皆さんはこれまで「学び方」を教えてもらったことはありますか?

試験に合格するための必勝勉強法とか、勉強への集中の仕方とか、効率のよい理解・暗記の仕方とか

私の場合は、学校の先生は教えてくれなかったけど、塾の先生は少しばかり教えてくれたような記憶があります。

この本の中でも、学生の勉強を事例として扱っていることもあって、学校での勉強のハウツーが色々と出てきます。

それが、うつ・不安障害を治すこととどう関係あるのだろうと思われた方も多いのではないかと思います。

そこで、今日は、「学び方の学び方」と自己洞察瞑想法の実践方法の関係について書いてみたいと思います。

学ぶ・学習するとは?

この本は、神経科学と認知心理学に基づいた学習法について書かれています。

そのため、学ぶ、学習するという言葉の定義も、神経科学的です。

103ページを引用します。

学習するとは、頭の中でニューロンを結合させることだ。学習を深くて永続性のあるものにするには、そうした結合を強くすることが必要だ。

実は「学習する」の部分に「うつ・不安障害を治す」を差し替えても同じように言えると思うのです。

ニューロンとは↓神経細胞のことです。

荒っぽく言うと、心とからだに何らかの症状を生じさせるニューロンのつながりがあって、それを症状が生じないように、そのつながりを鎮静化したり、別の部分のニューロンをつなげて活性化させていくと「うつ・不安障害」も治ります。

つらい時は、お薬の力を借りたりもしますよね。

取り組み方がとても大事

裏表紙にはいきなりざっくりとこんな言葉が。

引用させていただきます。

成績をあげるためのカギは、頭の良さでも勉強の長さでもない。それは勉強への取り組み方にあるのだ

勉強に対しては、積極的で意欲的であることができれば、確かに勉強ははかどるし、楽しい。

症状を治すことにも同じことが言えると思うのです。

なぜならば、

私の支援の体験によるものですが、最後まで個人・グループレッスンをやり抜き望ましい結果を出す人たちは、皆さん「自己洞察瞑想法」で症状を治すことに意欲的です。

具体的には、

私のところのレッスンは、長年、症状に苦しんでいるクライアントの多くが「もう残された実践はこれしかない」「何が何でも治したい」という「構え」になっていますし、

1年程度のレッスンの中で、症状の良し悪しの波に翻弄されながらも、時に悲嘆にくれながらも、立ち直って乗り越えていくことで自信をつけていかれます。

意欲の低下は、症状の1つです。

でも、コンディションの良し悪しはあっても、治すためには、意欲は自分で作り出していかなければならないのです。

その源泉は「価値・願い」です。

良くなっていく方は、必ずと言っていいほど「価値・願い」が明確です。

集中モードと拡散モード

新しいこと、難しいことを学ぶ時には、集中モード(答えに向かってまっしぐら)と拡散モード(迷路の中で行ったり来たり)を往復することになります。

これは、自己洞察瞑想法でも起きます。

例えば、テキストに書いてある内容を実践してもうまくコツがつかめない時です。

あれこれやりながら、「こういうことでいいのかなー」「やり方あってるのかなー」という状態です。

とても「もやっと」します(汗)

で、熱心なクライアントはレッスンの中で、自分の実践法について試したことを話してくださり、私と問答しながら、自分の実践を検証します。

そして、さらに実践を探究しながら、ある時とうとう「そっか、これか!」「そっか、これが私の問題だったのか!」と自らの力で、自己洞察瞑想法の実践の要を体得していくのです。

これがまさに「頭の中でニューロンを結合した状態」と言えるのではないでしょうか?

自律心の課題

症状に苦しんでいる時、私たちの自律心(セルフコントロール力)は、十分に発揮できないことが多々あります。

なぜなら、脳の中で実行機能を司っている前頭前野の機能が本調子ではないからです。

具体的には、朝起きれない、やると決めた呼吸法や運動ができない、返信しないといけないメールが期日までにできない、ほかです。

でも、これって特に苦しむ症状がなくたって誰にでも起きるものです。

じゃ、学びのエリートたちはどうやってるのでしょう?

169ページを引用させていただきます。

自律心を身につけるカギは、自律心に頼ら"なくても"自分の目標を達成できる道筋を見つけることだ。

そしてその方法として次の5つが紹介されています。

・厳しい選択を簡単にしよう
・習慣を変える
・目標を立てて、障害を見極めよう
・再充電を忘れないように
・周りの人を巻き込もう

さらっと書きましたが、詳細が知りたい方は読んでくださいね。

ここ、すごく自己洞察瞑想法の練習にも適応できます。

ちょっと曲解しれませんが、

私は症状に苦しむ今だからこそ、

楽にできることを考えたり、そもそも別のやり方を考えてみるとか、できたかできなかったか結果に囚われて自罰的になったりしないでプロセスにしっかり向き合うとか、

そういうことをやってみるチャンスなんじゃないかなと思います。

しんどいなりに頑張っている自分を労ったり、満たしたり、

他人を頼らずに、何でも自分でやってきてしまった人はもっと他人と一緒にやることを覚えていくとか

病気・症状を通して、自分を学び、有意義な変容を叶える(本当の自分に出会う)時期になると思うんです。

つらいかもしれないけど、ピンチをチャンスに変えていきましょう。

最期に

今回は、本の中から私が印象に残った項目の一部(他にもある)が、自己洞察瞑想法の実践にどう役に立つか私見を書きました。

本の帯に、語学、プログラミング、料理、スポーツ・・・どんなことでも必ず身に付くテクニックとあります。

すべてが症状の克服に役に立つとは言えませんが、「治す」から「学ぶ」と視点を変えることで、私たちは活かせる知恵が増えます。

支援する時も、クライアントとは「共同学習者」だという意識を大事にして、サポートしていこうと思います。

なお、本の中で、コーヒーや紅茶をおすすめする部分がありますが、くれぐれも睡眠を優先してくださいね。

ではまた。

  • この記事を書いた人

羽利 泉(はりいずみ)

石川県金沢市でカウンセリングや「うつ・不安障害を治すマインドフルネスーひとりでできる自己洞察瞑想療法ー」の講座をしたり情報を発信している公認心理師(国家資格)・マインドフルネス瞑想療法士です。マインドフルネスの実践を通し、心身症状で悩む方のサポートをしています。