トレーナーの羽利です。
最近、自己洞察瞑想療法/瞑想法(SIMT)が、心身症の方にもすごく役に立つ実践方法であることを実感していますが、
心や体の問題だけでなく、私は「関係」の問題にも、もっと役に立つと思っています。
(これらは切り離すことができない問題であります)
そこで、今日は、「関係」の問題に、なぜ自己洞察瞑想療法/瞑想法(SIMT)が役に立つのかについて書いてみたいと思います。
目次
特定の個人にだけ問題の原因があるのではない
先日、Facebookの私の個人アカウントでこんなことを書いてみました。
東京在住時代にお世話になって、雲の上にいらっしゃるような同業の偉大な先輩から、深夜に素敵な修正のアドバイスをいただき、上述の内容に落ち着きました。
私は、日頃、
「人間関係や夫婦関係の問題が悪化する時に、特定の個人にだけ非がある問題などない」と考えるように習慣づけています。
相手を責め立てたりしても、自分に自罰的になっても、解決にはたいして役に立たないと思っています。
そんな思考に陥っている時は、好転させる考えも行動も影を潜めてしまうからです。
とっさに立ち上がってくる不快な感情
人間関係、家族・夫婦関係で、何らかの気持ちが揺れることは、誰でもありますよね。
いらだったり、キレたり、傷ついたり、裏切られたと感じたり etc.
自分も相手も不快にならない、傷つかない反応が取れたらいいですよね。
でも、どうにも心穏やかでいられない。
自己洞察瞑想療法/瞑想法(SIMT)では、とっさに立ち上がってくる不快な感情は、脳の働き、構造上、必然的なものであると考えます。
そして、
その不快な感情を、必要以上に発展させ、不快な思考を必要以上に回転することを抑制します。
これが自己洞察瞑想療法/瞑想法の行動時自己洞察が大きく活かせる場面の一例です。
(自己洞察瞑想療法/瞑想法では、呼吸を中心とした静坐瞑想だけで状況を好転させていくのではありません)
ところが、感情の起こる場所である大脳辺縁系の過剰な働きを抑制する大脳の前頭前野がストップをかけられないと、感情は暴走し、建設的でない思考に自動的に操縦されます。
自己洞察瞑想療法/瞑想法(SIMT)の「要」:意志作用
自己洞察瞑想療法/瞑想法(SIMT)で、脳神経生理学・西田哲学の観点から、トレーニング対象とするメインの働きを「意志作用」と呼びます。
意志作用の「意志」は、意志が強い、弱いという意味合いではなく、「目的を実現する一連の意識の統合」ような意味合いです、
意志作用は、今、自分にとって叶えたいと思っている目的観念に対して、それを何とか叶えるために、
様々な意識の作用(判断、感覚、思考、感情、欲求、記憶、行為など)が映し出す内容(対象)が、外側にあって自分を振り回しているものではないと知り、冷静に意識の作用を観察しながら、
自分も相手も苦しまない行動を選択していく作用なのです。
ちょっと小難しくなりましたが、日々の生活や人生の目的を叶えていく上での統合的(単一ではない)で合目的的な作用なのです。
どんなに瞬時でも、心が揺れる瞬間も観察します。
不快な感情に気づいても、それらを発展させて思考を回転させず、目的を思い出し、手段を考え、実行します。
行動することによって、また状況が動き、そして観察します。
また、目的を思い出し、手段を考え、実行します。
このようなことを繰り返していくうちに、脳は、安定した脳神経システムの基盤を築いていき、関係を作っていく行動が変化していきます。
賢者は知っている、うつ・不安障害を治す心理療法に止まるはずがないと
うつや不安障害の方は、人生のある時期に、思うように目的実現の行動がとれなくなってしまうことが増えます。
不快な感情や思考の回転に、余計なエネルギーが浪費され、大脳の前頭前野が担う「意志作用」が十分に働きません。
「意志作用」を回復させる自己洞察瞑想療法/瞑想法(SIMT)は、うつや不安障害からの回復に極めて有効な心理療法です。
しかし、そんな自己洞察瞑想療法/瞑想法(SIMT)に、うつでも不安障害でもないけど、取り組みたいという方がいらっしゃいます。
・現状に何かしら思うようにいかない問題を抱えながらも向上心を捨てきれない方
・自分の人生や大事な人たちとの関わりに責任を持って生きている方
・夢を諦めきれない方
などです。
しかし、彼ら、彼女たちの前に立ちはだかるのは、「能力」の問題ではなく、「関係」の問題です。
そして、
この「関係」の問題を乗り越えて、今の自分の状況のブレイクスルーに自己洞察瞑想療法/瞑想法(SIMT)が役立つと見抜くことができる人なのです。
あぁ、賢者だなぁ・・・
と、思いながら日々おつきあいさせていただいています。
結論としては、「関係」の問題に上手に対処できれば、本当に叶えたい「ありたい姿」をぐっと引き寄せることができるのです。
そういう意味で、自己洞察瞑想療法/瞑想法(SIMT)を、疾患ベースでのみマインドフルネスと考えるのではなく、価値ある人生を送るためのマインドフルネスだと、理解されることを願っています。