私は、日頃、研修講師としても活動しているのですが、管理職向けの研修では、メンタル不調の部下にどう指導していいか悩む方が増えていると感じています。
今日は、休職から復職したという方について考えたことを書いてみますね。
必要なのは治すための訓練
昨年まで2年間、受講者の大半が
・メンタル不調の方
・上司やチームメンバーとの関係がうまくいかない方
・休職から復職したという方
という研修も担当していました。
その中で良くなっていく人とそうでない人を見てきましたが、順調に復職していかれる方の多くは、やはり「復職したい」という思いをもとに、休職中に何をしたらいいかに積極的だなと感じることが多くあります。
もちろん、自己洞察瞑想療法にも、たくさんの休職中の方がチャレンジしています。
トレーニング開始直後は、厳しい症状に直面しながらも
・運動
・家事
にと、とにかく行動されています。
3つ目の家事は、もともと料理の習慣がない方もレシピサイトを見てかなり料理の腕が上げていかれるというお話はよく聞かれるお話です。
これらに共通するのは大脳の前頭葉にある「前頭前野」の活性です。
そうです!
うつ・不安障害の方々の大半に「前頭前野」の機能の低下が起きているのですから
これを積極的に行わずに、
・ゲームをする
・本を読む
など、目的や計画もなく体を動かしたりすることのない活動を繰り返している人はなかなかよくなりません。
だからと言って、
運動や家事が、職場での仕事に自信をつけてくれるかというとそうとは言い切れません。
「復職してもまたつらい状態になるのではないか?」という過去のトラウマが復職へのエネルギーのブレーキになっていきます。
この再現を恐れる状況に目をつぶっている以上はそれを受け容れること・乗り越えることはできません。
いつかしっかり向き合う必要があるのです。
そうでなければ、あなたが受け容れ、乗り越えるべき、まさにその時、
自分のパターンを変えられないまま職場に戻ると、あなたはまた自分が苦しくなってしまう考えと行動のパターンに戻ってしまうからです。
自分が苦しくなる自分の思考と行動のパターンを引きずったまま復職されますので、
やがてまた苦しくなることが起きる可能性があります。
再び、休職しないまでも、ずっと苦悩を抱えたまま仕事に戻りますから、
仕事の効率は上がらず、また企画や問題解決・業務改善などの創造性の高い仕事を求められる方は発想そのものを充実させることが難しく
また、リーダー的な仕事を担当し、人を巻き込んで仕事をしていく方は、多様なチームメンバーを束ねていくことに迷い、
メンバーに仕事を任せることができず、自分で仕事を抱え込み、再び自分を追い込んでしまったりします。
ですから、
ちょっと調子がよくなることと、仕事が満足にできることとの間には大きな溝があるのではないかと思うのですが、読者の皆さんはいかがですか?
「上司・同僚のおかげで」の環境を最大限に生かして
私自身は、上司の皆さんには「ラインケア研修」、部下向けには「セルフケア研修」という研修に、何度となく登壇してまいりました。
今は、メンタルヘルスに理解のある会社が増えてきています。
しかし、まだ大企業や官公庁や自治体のような大きな組織が中心になっており、
中小企業や小規模事業者では、経営者・管理職の方もメンタルが悪化した社員にどう対応していいか手探りです。
そんな中、ごく一部の愛情のある上司や仲間のおかげで、なんとか支えられてきたという幸運な方もいます。
それはそれで素晴らしいし、素敵な職場です。
でも、そこに甘えているだけでは、あなたがあなた自身に自信を持つことができません。
今度は、あなたがその比較的安全な環境の中で、
あなたが再発しない自分自身を磨いて、築いて、自信を持つ出番なのです。
本日の結論!
前頭前野が活性する訓練をしないまま、自分の悪しきパターンを改善しないまま復職しても自信は持てない
では、また次回!
なにかお手伝いできることがあれば。