「うつ」で寝込みがちな方におすすめしたい脳トレ:グー・チョキ・パーの「ゆび体操」

重いうつで起きれない、そして非定型うつの症状である「鉛様麻痺感」が症状として出ていると、布団の中で過ごしがちになります。

それでも無理のない範囲で少しづつ、布団から出て、体を動かしていきたいものです。

今日は、とにかく、椅子に座ることができ、コツコツ練習すればできそうな体操「ゆび体操」を紹介します。

うつの症状の時にも、なるべく運動を

運動する時に限らず、脳は、複数の部分が連動しています。

うつの時には、散歩やスロージョギング、サイクリング、水泳などの有酸素運動が、脳のセロトニン細胞を活性化し、神経伝達物質セロトニンを増やし、副交感神経を優位にする効果があります。

一方で、これらの動きが習慣的にできるという場合には、脳を活性化するという点では少し物足りないかもしれません。

非習慣的な動きで、いつもと違う刺激を脳に

脳はざっくり分けると、外側(新しい部分)から順に、大脳皮質と大脳辺縁系と脳幹に分かれますが、運動時には、大脳皮質(前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉ほか)のうち、前頭葉の後方が活性し、動きの指示を出します。

前頭葉の下の方は、言語を扱い、マインドフルネスの実践ではもうすっかりおなじみの前頭葉の前方:前頭前野は、記憶、注意、判断などを統合的に行う司令塔の様な役割です。

頭頂葉には、体性感覚野という手足の感覚を感じる部分があり、頭頂葉の後方には、自分が今、どこにいるかという場所の感覚を司る部分があります。

後頭葉には、視覚、側頭葉には聴覚を司る部分があります。

指体操はうつにも効果的

自己洞察瞑想療法でも取り入れられている脳トレ体操は、北陸マインドフルネスセンターでも、症状の厳しい方を中心におすすめしています。

脳トレにもいろいろありますが、youtubeを見ていると認知症予防を目的とした動画がたくさんありました。

「私はうつかもしれないけど認知症じゃないし・・・」と思われる方も、ちょっと試してみませんか?

久しぶりにやってみたのですが、私、玉砕しました(汗)

実際にやってみると、先述の「非習慣的な動きで、いつもと違う刺激を脳に」の段落でご紹介した脳の部分のつながりが本当に大事だなと感じます。

できなくても「また明日」という気持ちで

実は、私は、この手の動きは最初はものすごく手こずります。

自分で「あれー、こんなにセンスないんだっけ、私・・・」なんて軽く衝撃を受けるのですが、「ま、そのうち」という気楽さが必要かと思います。

そして、今、症状に苦しんでいる方は、うまくいかないからって「やっぱりうつだから」と理由づけをする必要もありません。

だって慣れ親しんでいない動きなのですから、最初からすんなりできる方が特別な感じがしています。

それよりも、最初はうまくできない方が、練習するたびに、スムーズに動けるように、脳神経システムが学習をしていく。

このことを通して、大脳皮質の連携を強化していくことに大きな意味があると思うのです。

フェルデンクライス・メソッドの開発者であるモーシェ・フェルデンクライスの名言に 「不可能なことは、可能に。可能なことは、容易に。容易なことは優美に

という言葉があります。

今日はなんだか動きがぎこちなくても「また明日ね」と言って、その時その時を楽しんで、続けていくうちに、動きがなんだかいい感じになったとしても、さらに動きを洗練させていくと、

いつしか自分に自信が持てるようにもなっています。

そして、余談なのですが、この動きをやっている時、あなたの呼吸がどうなっているかも観察してみてください。

なにか新しい気づきがあるかもしれません。

ご紹介した動画は、ほんの1部ですが、大田健次郎先生の奥様である大田恵美子先生は、脳トレ指導の達人で、たくさんのバリエーションを持っていらっしゃいました。

すべてご紹介できないのは残念なのですが、いつか動画に収められたらと企てています。

  • この記事を書いた人

羽利 泉(はりいずみ)

石川県金沢市でカウンセリングや「うつ・不安障害を治すマインドフルネスーひとりでできる自己洞察瞑想療法ー」の講座をしたり情報を発信している公認心理師(国家資格)・マインドフルネス瞑想療法士です。マインドフルネスの実践を通し、心身症状で悩む方のサポートをしています。