【参考図書】気づかないで、力を入れ、緊張し、無理をしている現代人:からだと心のマネジメント

トレーナーの羽利です。

今日は、フェルデンクライス・メソッドのことについて書きます。

私は、ある特定の研修の仕事をするときに、黒いパンプス(5cmヒール)を履いています。

特別ヒールが高いとは思わないのですが、やはりつま先に体重がかかり、かかとに体重が乗りにくい。

この状態で、頭を支えるには、筋肉が裸足のときに比べれば大なり小なり緊張をしますし、

地面を踏むことで起きる力を、からだ全身が効率よく使うには、よっぽどからだをしなやかに使う必要性を感じています。

このことと私の体癖が災いし、私は体の緊張度が高く、股関節に長らく不調を抱えており、近年ではフェルデンクライス・メソッドに助けられてきました。

先日、フェルデンクライス・メソッドのプラクティショナー養成講座での同期のパフォーマー:武井実さんにこの本を紹介していただきました。

からだと心のマネジメント フェルデンクライス・メソッドへの誘い
深沢 悠二
ブックハウス・エイチディ
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全くの初心の方が、フェルデンクライス・メソッドを知るには、コンパクトでかつ本質的な内容を扱った良書だと思います。

気づけば変えられる

著者の深沢 悠二さんは大正14年生まれであり、メソッドを始めたのが50代後半から、そしてこの本を出版されたのは70代だと推測します。

人生の様々な経験に基づいて書かれた文章には含蓄があります。

表紙にある

気がつかないで、力を入れている。
気がつかないで、緊張している。
気がつかないで、無理をしている。
それが現代人です。

これに、気づいていればしめたものです。

私は、自分はなかなか気づけなかったと思います。
肩も凝って、腰も痛かったのにですよ・・・

皆さんは、お気づきですか?

私は、日常的に、肩、胸、腹の緊張に気づいては解くことを心がけていますが、やはり長年かけて出来上がっている自分のパターンというものは根強く、

さりとて変えられないかというと、気づくことができれば変えられるということ(変わっていくこと)を時間をかけて学んできました。

でも、気づかなかったから変えられなかった時期が長かったのです。

気づきと意志

フェルデンクライス・メソッドでは、動きの質を変えていくには、意志は気づきよりも劣るものと考えます。(意志<気づき)

気質と体の緊張について書かれたページがあるのですが、

やりたくないことをやらなければならない時には、私たちにはなんらかの葛藤が起きるわけですが、それらを乗り越えようという意志が体に緊張を引き起こします。

そのような時には、頑張ったりせずに気づきに任せるのが良いと。

自己洞察瞑想療法では、意志作用を大事に考えますが、当然その前には「気づき」があってのこと。

自分の心身の緊張に気づいて、しばらく(ごく短時間)そのままにしておくことで、

本当はどうしたいのかが立ち上がってきて、自ずと選択できるというような経験を皆さんはしたことがありませんか?

頑張らない

実は私は、ここ数年「頑張る」という言葉を、自分にも他者にも使っていません。

理由は

自分の中で「頑張る」という自己イメージが、歯を食いしばって、何かしらの力を使って困難に立ち向かっている自分を想起させるからです。

このイメージできた時点で、力を入れる自分を知っています(汗)

具体的に取り組もうと明確にしたことが、あっという間に、力を使って突破しようとしう自己イメージにすり替えられてしまい、

私にとっては「具体性を無にする」言葉であるからです。

この本の1文ですごく腹落ちしたのが、79ページ8行目の下記の1文です。

「頑張る」のは、動きは力の差異であることを等閑視した非効率な努力である。

等閑視とは「いいかげんに扱って、放っておくこと。なおざりにすること」という意味。

動きというのは、力を入れたり、抜いたりしながら構成されていくのに、頑張るモードの時は、それが大雑把すぎるでしょ?

と、いう感じでしょうか?

確かに、頑張るってモードの時は、自分がやっているプロセスが詳細に見ることをないがしろにして、

うまくいっていないのに改善もしないで同じやり方を続けてしまったり、他者の状況を無視して、独りよがりになったりする訳で

結果的には、プロセス見えていて、自他によく気づく時よりも、余計な力を使って、余計なことをやってしまう。

自分の限界を超える課題にチャレンジする時や、面倒臭いな、やりたくないなと思う時には、特に「エイヤー」って力を使います。

それでは疲れてしまいます。

時にはやらないということも含めて、課題を再整理したり、イメージ作りに時間をかけたり、力を使わない方法も色々と検討してみたいものです。

楽しく、気持ちよく

じゃ、余計な力を使わずにスイスイと、苦痛を感じずにできた時というのはどんな時かというと、やっぱり楽しめている時。

でも、できない動きをできるようにする時には、どうしても難しい顔をしがち。

私自身が、フェルデンクライス・メソッドのレッスンでも、難解な動き、自分には無理な動きに直面すると、無意識に顎や目に力を入れてしまったりしていることがあります。

混乱や葛藤を乗り越えようと力を使おうとします。

この悪い癖をなんとかするにはどうしたらいいのでしょう?

フェルデンクライス・メソッドのレッスンでお世話になったトレーナーが「curiosity(好奇心)」という言葉をしばしば使っていたことを思い出します。

そこで、私が学んだことは、自分に対しての好奇心をもつこと、その結果、どんな自分を見つけても暖かい眼差しを向けて、微笑んでいられることです。

実際は苦笑の方が多いですけど。

でも、
「あー、こんな風にやっちゃってるのね私ーー」とか
「おー、いい感じ、いい感じ」
「おっ、ここをこうするとこんな風になるんだー」

みたいな、実況中継ができている時って、結構おもしろいものです。

結果を出すために、頑張っていることのプロセス(過程)に好奇心を持って、自分にダメ出ししない限りは、きっと楽しめると思います。

フェルデンクライス・メソッドは、私のように楽しみ下手ですぐに力を使って頑張ってしまう方には役に立つのかもしれません。

「からだの動き」を通しての気づきは、私たちの思考や感情などとも関連し、ちょっと飛躍しますが、人生をよりよく生きるということに影響します。

フェルデンクライス・メソッドのレッスンに限らず、実際の仕事や家事の中でも、同じことが言えるかもしれませんね。

フェルデンクライス・メソッドはからだと心を学ぶ方法です。

ぜひ、一緒に学んで行きましょう。
レッスンでお会いしましょう。

  • この記事を書いた人

羽利 泉(はりいずみ)

石川県金沢市でカウンセリングや「うつ・不安障害を治すマインドフルネスーひとりでできる自己洞察瞑想療法ー」の講座をしたり情報を発信している公認心理師(国家資格)・マインドフルネス瞑想療法士です。マインドフルネスの実践を通し、心身症状で悩む方のサポートをしています。