なぜ私は不快な思考を止めることができないのだろうということについて

トレーナーの羽利です。

最近、私にも「不快な感情・思考」が観察されることが度々あります。

このトレーナーとして、仕事をしていると、そういうことに平気で対処できないと「失格」と言っても過言じゃないと思うのですが、

大なり小なりそういう日はあるものです。

レッスンをしていると、

クライアントさんから

「いっとき調子がよくなって思考が止められたのに、最近調子が悪いんですけど」とか

「レッスン中は、うまく思考が止められていたのに最近また調子が悪くなって・・・」

などというご相談を何度か受けることがあります。

それにしても、なんでそういうことが起きるのでしょうね?

そこで、今日は、そのようなトピックスで書いてみたいと思います。

そもそもどうやったら止まるの?

感情や思考が脳の働きによるものである以上、これらを制御するのもまた脳の働きです。

そこで、自己洞察瞑想法では、この思考を止める手始めに

自己洞察」を入れる練習をします。

入れる」というところがポイントです。

具体的には、何となく考えていることに気づくのではなく、

自分が今、不快なことを考えているか考えていないのか、意図的に、能動的に自ら見にいくイメージなのです。

つまり

「今、私は、考えているか、考えていないか」の点検です。

そうすると

「あ、また考えている」
「うん、今、考えてなくって仕事(家事)に集中できていた」ということが見えてきます。

一方、

本当に不快な思考が渦巻いている時は、

ずっと

「あ、また考えてた」
「あ、また考えてた」
「わ、また考えてた」
「わわ、また考えてた」
「え、私、こんな考えてるの」
「まじで、また考えてるやん」
「うそやろ、全然別のことばっかり考えてるわ」

いったいどれだけ繰り返してるんやろーって感じになる訳です。

「いやー、信じられない」「こんな、別のことばっかり考えてるなんて」と思うかもしれませんが、

でも、ここはプラスに考えてください。

皆さんは、気づいていますか?

考えていたことに気づいた時って、不快な思考をほんの一瞬でも止めることができていたということを。

自分の頭で考えれば答えが見つかるという信念

洞察を入れるというのは、自己洞察瞑想法では重要なスキルの1つです。

ちなみに、今まで、皆さんは思考を止める練習をしたことありました?

私は、練習した記憶はないです。

しかも、

子供の頃は大人たちから「自分で考えなさい」と言われたことはあっても「考えるのをやめなさい」なんて言われたこともなかったですから。

むしろ、

答えは自分で見つけるものと思い込んで、答えが見つかるまで考えているなんてことは今でもあるかなと。

無意識の思考崇拝ですね(寒い・・・)

「さかあがり」と「自己洞察」

ちょっと余談ですが、

皆さんは、子供の頃、すんなりと逆上がりができましたか?

私は、手に豆をつくりながらも何度も鉄棒にしがみついて練習した子供でした。

練習の過程を神経生理学的に振り返ると、

脳がお手本を手がかりにおぼろげに「自分ができているイメージ」を描き、

それを手がかりに、脳からの司令にしたがって、動いてみて、その結果を脳にフィードバックしてるんですよね。

脳から行きも帰りも情報を神経系伝達しています。

そして、遂に

「くるりん」って回ることができた時に、私たちの脳の中では、神経細胞が結合して、

「くるりん」と回れる動きのパターンを作り上げます。

実は、

思考を止めることができる時も同じ理屈。

脳に思考を止めるパターンができたということなんですね。

できたパターンを強化する

しかし、

一度、思考を止めることをマスターしたと思ったのに、また元に戻ってしまうというのはなぜなんでしょう?

それは、もともと持っていた脳のパターンにまた戻されてしまうからです。

できるようになって火が浅いうちは、神経細胞の結合が弱いので、まだまだ結合を強化しなければならないのです。

だから、自己洞察瞑想法は1年前後練習して、思考を止められる脳の使い方のパターンを強化するのです。

まさか、そんなことが脳の中で起きているなんて知らなかったと言う方は、あきらめずに感触がつかめるまで、もう少し練習してみるといいでしょうね。

その思考はあなたを幸せにしますか?

この練習は、反芻思考の渦中にいる方にとっては、手応えがつかめるまで時間がかかるかもしれません。

でも、自分に問いかけてほしいんです。

「その思考、私を幸せにしますか?」って。

実際には、予期不安(まだ起きてないけど「〜したらどうしよう」)的な思考より、

できるものなら、どうしたらよいのか建設的に考えたいですよね?

「仕事を失うかもしれない」のであれば、「どこに相談にいくのがいいのだろう?」とか。

「からだに気になる症状がある」のなら、「どこに、だれに相談するのがいいだろう?」とか。

もっと深刻な問題を抱えている方も多いかと思うのですが、

不快な考えを止める、目的をしっかり思い出してください。

不快な考えを止めるためにというのは、目的ではありません。

不安を止めることは「単なる手段」です。

目的は、あなたが「幸せになるため」に建設的に思考が使えるためにです。

そのために、不快な思考に気づいたら、きっぱりやめて眼前のことに注意を向けかえて行動してください。

それが、自己洞察瞑想法が大事にするスキルの1つなのです。

機会とご要望があればご一緒しましょう。

ではまた。

  • この記事を書いた人

羽利 泉(はりいずみ)

石川県金沢市でカウンセリングや「うつ・不安障害を治すマインドフルネスーひとりでできる自己洞察瞑想療法ー」の講座をしたり情報を発信している公認心理師(国家資格)・マインドフルネス瞑想療法士です。マインドフルネスの実践を通し、心身症状で悩む方のサポートをしています。